» 事業承継を行うために必要なこと

2017年8月1日

インクグロウの照井です。弊社がご提携をさせていただいております、『きのくに信用金庫様』で「事業承継セミナー」を7月20日に行いました。今回その内容の一部をまとめて、「事業承継とは何ぞや?」ということを記載していきたいと思います。

 

1.何故事業承継が最近話題なのか?

そもそも事業承継というキーワードが非常に色々なところで聞かれるようになりました。それは何故でしょうか。

この図をみてみると、経営者の年齢の山(その年代で一番多い年齢)が1995年47歳であったものが、2015年66歳へ移動しております。

一方で、中小企業の平均引退年齢は、「小規模事業者」では67.7歳となり、小規模事業者では、70.5歳となります。

つまり、日本の中小企業の経営者の多くが、引退の年齢に達していることを意味します。

 

一方で、以下の図の通り、60歳代では、約57%の経営者が、70歳代50.5%、80歳代でも52.3%の経営者が

 

が事業承継の準備を行っていない現状があります。このような状態にあるため、国をあげて、事業承継を推進していく必要があります。その為、国から様々な税務上の優遇処置などが出てきており、よりスムーズに事業承継が進むような制度が出来ております。

 

 

 

 

 

では、何故事業承継の準備が進んでいかないのか?

ここで上げられるの以下の3つであるといわれております。

① 日々の経営で精一杯

② 何から始めれば良いかわからない

③ 誰に相談したら良いかわからない

 

まず①の日々の経営で精一杯ということでありますが、まさにこれはその通りであると感じます。やはり

中堅・中小企業の経営者は、日々の営業・人材育成・経理や財務などの管理業務、そのほとんどを経営者でみなければならい状況で仕事をしている、スーパーマンのような方が多いと思います。その上に、事業承継についても考えろと言われても非常に酷な事であると思います。だからこそ、②の何から始めれれば良いかわからないにも繋がってきますが、「効率的に事業承継を進める」ことが大事となります。つまり、何から始めればわからない中、やみくもに、進めていっても非常に非効率な活動になってしまいます。そこでここでは、まず何をすべきかということを後半記載していきたいと思います。

③の誰に相談したら良いかわからない。これもよくわかります。ただでさえ、経営者は孤独であるといわれる中で、自分が引退すること、事業から手を引き承継をすることということは、相談しづらいことでもあります。また

下手に相談して、このような情報が従業員の耳や取引先の耳に入り、経営の根本を揺るがすことになることも心配事であると思います。では誰に相談すべきなのか、これも後に記載をしていきたいと思います。

このような状況なので事業承継というのは国をあげて取り上げていかなければいけない課題でありだからこそ、非常に話題にもなっているということになります。

 

2.事業承継の方法とは何か

事業承継の方法は以下の3つに分けられれます。つまり、誰に事業を承継するのかということかによって手法やメリット・デメリットも変わってきます。それぞれのメリットデメリットをみていきたいと思います。

事業承継の方法それぞれのメリット・デメリット

① 親族への承継

② 役職員への承継

③ 他社へのM&A

 

①の親族への承継のメリットは、

経営理念や現経営者の想いがよく理解され、承継がスムーズに行われる

相続による財産権の取得が可能であり税務上メリットがある可能性がある

 

①の親族への承継のデメリット

◆経営者としての資質が問われる

経営者の息子であるか経営者として適任であるかというとそうでもないというケースがあります。特に先代の経営者がカリスマ性が強ければ強い場合ほど後を継ぐことはその経営者と比較されることによって非常にやりづらい立場で経営をしなければならないという場合もあります。

◆外部へ売却するよりも創業者利益は取りづらい

身内に売却することになりますので、株式を高く売るということなどを行わないために創業者利益というものは外部へ売却するよりも低い金額となります。

 

②の役職員への承継のメリット

◆経営理念や現経営者の想いがよく理解され、承継がスムーズに行われる

親族の承継同様で、今まで一緒に経営をしてきた仲間がそのまま昇格して経営者となるということであるため、経営理念や現経営者の想いなどをよく理解されて、また従業員からしてもNO2などがそのまま経営者となることになりますので、混乱なく承継が行われやすいです。

 

②の役職員への承継のデメリット

◆経営者としての資質が問われる。

親族への承継と同様、NO2であったとしても、経営者とNO2では、行うことについて雲泥の差となります。優秀なNO2が優秀な経営者になれるかというとそうでもないことが多いです。

◆借入金の引継ぎや株式譲渡資金の資金調達が行えない

ここが、役職員へ承継する場合、一番大きな課題になる部分ですが、会社で借入している借入金に対する個人保証の引継ぎを役職員が拒むということがあります。やはり、そこまでの腹くくりをして経営者になるということが出来る人間が少ないです。また、現経営者から株式を買い取るとなると、企業規模によりそれなりの資金が必要となってきますが、その資金調達がなかなかできない。また出来るとしても、借入金の保証の引継ぎと同様にそこまでの腹くくりが出来ないという方が多いです。

 

③他社へのM&Aのメリット

◆事業シナジーによって今後も成長が図られる

売却先の経営資源を活用することで、企業成長をより加速することができるということであります。例えば、自社だけでは、なかなか海外展開出来ない場合に、すでに海外展開している大手企業の傘下に入ることなどにより、自社の海外展開をスムーズに行うことが出来て、結果企業成長につながるなどの例であります。

◆経営者に多額の資金が入る可能性がある

親族や役職員に承継することと比較して、他社へ売却することになりますので、より高い金額で売却するほうが、自身のメリットとなるため、より高い金額で売却するように動くことで経営者に多額な資金が入る可能性があります。一般的に『経営者利潤(利益)』とよばれるものであります。

◆従業員に夢を与えられる

事業シナジーのところにも記載したように、より大きな成長することができるようになれば、従業員にとっても多くのポジションが用意されることになり、特に若手の従業員にとっては自身のキャリアプランがより多くの選択肢が取れるようになり、夢を与える結果となることが多いです。

 

③他社へのM&Aのデメリット

◆理想の承継先を探すのが難しいのと探すのに時間がかかる

理想の承継先を探すとなるとなかなか難しいのと時間がかかります。そのため、M&Aを専門としている企業に相談して、より多くの選択肢の中から承継先を探すことが重要となります。またすぐに決断せずにより自身とマッチした企業を探すことが重要となってまいります。

M&A専門業者の中には、自身のM&Aを成立させたいという想いからM&Aをすることを焦らせる業者もいるので注意が必要です。

3.事業承継成功するためのアクションについて

まずは、後継者を誰にするのかということを決定することがはじめであります。2.事業承継の方法は何か に記載したように、誰に引き継ぐかによって方法やメリット・デメリットが変わってきます。デメリットを潰しこみをするためにも早めに後継者を決定して、準備をすることが重要です。例えば、後継者を親族した場合、経営者として独り立ちしてもらための後継者教育が必要となります。またM&Aするにしても、自身が現状どのくらいの価値で売却できるのかどうかを把握し、自身の今後のライフプランあわせ、その金額で良いかどうかの計画を立てなければなりません。仮に現状の企業価値が自身の考えている今後のライフプラン実現のために必要な資金に届かない場合、どのようにすれば、その資金を得られる企業に出来るのかということを中期的に考え、事業拡大や借入金の返済など経営の舵取りをしていく必要が出てきます。

このようにまず、後継者を決めるということがまず第一にきます。これは、言葉でいうのは、簡単ではありますが、行うことは非常に難しいと思います。息子さんに引き継ごうと考えていてもまだ、息子が学生で本当に引き継いでくれるのかわからないというケースもあるかと思います。

ただし、どの方法をとるにしても、「良い会社」にするということが大事になります。収益性をあげて、借入金の圧縮などをして引継ぎやすい企業にしていくことであります。

その上で・・・以下の3点を考える必要があります。

①税金対策

②経営権の集中

③債務や資産の整理など

 

①税金対策

まずはじめに行うことは、自身の資産を把握してそれに発生する税金を把握することから始まります。弊社では、財産シートというものを作成していただき、顧問税理士に相談していただき、相続や贈与の際にどのような税金がかかるか把握することからスタートします。その上で節税対策を考えていきます。また、事業承継税制など事業承継にあたって有利な税制なども出ているのでその活用などの検討も必要となってきます。

 

②経営権の集中

端的にいってしまうと、株式の集中であります。例えば株式を集中しないまま、相続などが起こってしまうと株式が散らばってしまい、結果、自身が後継者に指名していたものに引き継げない例などがあります。これも私がM&Aのコンサルタントとして経験した例でありますが、相続が起こり、株式が3兄弟に分散し、そのうち2名が売却を希望して、売却され、本来創業者が後継者として考えた人間に引き継げずに結果他社へ売却といったケースもありました。このようなことを防ぐためにも生前に、株式の集中について、手をうっておく必要があります。

 

③債務や資産の整理

後継者が引継ぎやすいバランスシートにするということであります。借入金が多いとそれだけで後継者は不安になるものでありますし、経済環境が変わり資金繰りが悪化することなども考えなければいけません。つまり、後継者が経営しやすい環境の整備をするということが重要となってまいります。その為に不必要な資産を売却し、債務圧縮を行うなどすることになります。また他社へ売却する際にもこのように事業が整理されていると、事業価値が上がる要因ともなりますので、一度バランスシートの整理ということを行うことが必要となります。

 

4.事業承継実現のための4つのステップ

事業承継を行うために必要な4つのステップ

①必要性の把握

②見える化 (事業承継計画の策定)

③課題の改善

④実行の準備および実行

 

ここまでで、事業承継というのは準備があり早めに考えた方が良いという事はご理解いただいたと思います。

そこで次に行うのが、見える化です。

見える化とは

見える化とはずばり、「事業承継計画書」を策定することになります。この「事業承継計画書」の作成こそが

「効率的に事業承継」を進める肝となります。

 

5.誰に相談すべきか

事業承継の際の誰に相談すべきかということでありますが、以下の図のとおり各士業は自身の得意分野では強い味方になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続税や贈与税などの税務の部分については税理士に相談することがベストでありますし、法務的な部分は弁護士に相談することが良いかと思います。ただし、事業承継というのは1度きりのことであり、なおかつ非常に重要なことであるので、出来ましたら事業承継を専門とする専門家に相談し、その専門家と各士業がプロジェクトチームを組みながら進めていくことがベストな選択肢であると思います。

弊社でも事業承継の相談も承っていますので、相談がある方はこちらからご相談ください。

 

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その他にチェックを入れてご相談内容を記載していただければ幸いです。

文章:インクグロウ株式会社 取締役 照井久雄 (中小企業診断士)

 

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