» 経営者の資産形成について②~知ってて損は無い!仕組債のしくみとちから~

2016年12月19日

初めに

現在、株価は日経平均が19,401円(平成28年12月16日終値)、ニューヨークのダウ平均株価が19,843ドル(平成28年12月16日終値)と、後者は過去最高値圏にあります。

その中で、前回は経営者の資産形成の一つの方法として株式投資について執筆をさせて頂きましたが、今回は「オーダーメイドで」商品の組成ができる「仕組債」について執筆をさせて頂きます。

オーダーメイドで商品を作ることが出来るので、例えば「1年で10%くらいのリターンが定期的に入る商品が欲しいな~」という、非常に難しいニーズにも応えることのできる可能性を秘めたものです。

 

 

※ここでの説明は仕組債への勧誘を目的とするものではありません。また、商品の概要をあくまで「分かり易く」記載をしておりますので、詳細は最寄りの金融機関へお問い合わせをされることをお勧めします。

 

『仕組債』とは

仕組債とは、一言で言えば「金融派生商品(通称:デリバティブ)を仕組みとして組み込んである」債券のことです。

一般に債券といえば、国の発行する「国債」や、事業会社の発行する「事業債」(有名な物は、電気会社の発行する「電力債」や、ここ直近であれば、金利が高いソフトバンクの発行する債券など)が一般的です。

債券の基本的な説明についてはこちらの日本証券業協会のページのリンクよりご参照ください。

しかし、債券は非常に奥が深く、金利や発行体(債券の発行元)、期間や利率などもさまざまに設定されるので、それこそ数えることが極めて難しい数が存在しています。

その中で投資家のニーズに合わせて「オーダーメイド」で作られ、市場で取引をされている債券が「仕組債」です。

ここで言う投資家のニーズとは、ざっくり言うと以下の様なニーズです。

  1. 投資家がこれから経済動向やマーケットがどうなっていくと考えているか。
  2. どんなリスク(例えば、「ドルと円の為替が20円くらい、円高になったら嫌だな~」など)を懸念しているのか。
  3. どれくらいのリターン(例えば、「1年で10%の金利がついたら良いな~」など)を求めているのか。

上記の3つのニーズを債券を作成する会社(日本だと証券会社)が汲み取り、債券を組成(オーダーメイドで作成すること)します。

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仕組債の種類

仕組債の種類は多岐にわたり、この場での一括での解説は困難です。

ですので今回は、日本の投資家の中でも比較的ポピュラーな仕組債について簡単に解説をします。

1、為替リンク債

為替の変動により債券の金利、償還元本が変動する債券です。為替リンク債や、デュアル・カレンシー債などの種類があります。

2、日経平均リンク債

日経平均の変動により、債券の金利や償還元本が変動します。この次の章で例に出す仕組債はこの形態になります。

 

この他にも様々な仕組債が存在します。

 

 

仕組債のメリット

仕組債の最大のメリットは、

オーダーメイド(つまり自分のニーズにあった商品が出来る)で商品が組成できることです。

金利を高く設定したり、発行体(債券を出すところ)を指定したりと、非常に様々なことができます。

具体的には、先述したニーズに照らし合わせると、「利回り10%くらい欲しい。(リターン)」、「直近の日経平均は上がりすぎだな。これが3割位落ちたら嫌だな。(リスク)」、「日経平均は上がりすぎだけど、アメリカは落ち着いてるし、今後1年で3割落ちたら嫌だけれども、4割落ちることは考えにくいな。(マーケットの今後の見通し)」というニーズを投資家からヒアリングした場合、証券会社は『日経平均が1年で4割落ちなければ、年利10%、期間1年のデリバティブを用いた債券』を組成します。

その後、組成したものを目論見書(卑近な言い方をすれば「購入する商品の説明書」)や契約締結前交付書面(乱暴な言い方をすれば「取引や商品のリスク・手数料等を記載してある書面」)を交付し、購入をします。

金融機関によって「最低いくらで購入できるのか?」というラインは違います。

また、上記の様に『完全にオーダーメイドで仕組債を組成してもらう』場合には、概ね1億円~3,000万円が必要になります。(この金額はあくまで目安としておいてください。金融機関の規模や、その時の市場の状況によりこの金額が変化することがあります。)

しかしながら、「この金額だと高すぎる」という方には、完全オーダーメイドでなく、半オーダーメイド(金融機関によっては大まかな市場動向や多数の顧客からの声を集め、定期的に仕組債を組成し、販売するところもあります。)の仕組債は300万円くらいで購入できるところもあります。

仕組債のデメリット

高いリターンを得る可能性のある仕組債ですが、高いリターンの理由として、以下に挙げるリスクがあります。債券によって条件が様々になりますので、一概には言えませんが、一般的には、

  1. 相場の変動によっては当初決めた金利を受け取ることが出来ないリスク
  2. 相場の変動によっては満期日までに償還(債券の期間が満期になる)になるリスク
  3. 相場の変動によっては満期日に元本を割って(通常債券は、満期日に全額投資元本が返ってきますが、相場の変動によっては投資元本が全額返ってこない)償還してしまうリスク
  4. デリバティブを扱っているところ(デリバティブを債券に仕組みとして入れる会社)が倒産した場合、損失が出て(金利が受け取れない、債券の元本が全額返ってこないなど)しまうリスクがある
  5. 債券の発行元が倒産してしまった場合、金利や投資元本が受け取れない「信用リスク」
  6. 債券を満期前に売却する場合、その債券の売却価格は市場での価格となり、売却金額が投資元本を下回ってしまう「価格変動リスク」
  7. 外貨で投資元本を払っている場合には、その外貨の市場レートによっては投資元本を下回ってします可能性がある「為替変動リスク」
  8. 債券を売却する場合にその売却したい債券の市場での流通が無く、そもそも売却が出来ない、もしくは、投資元本を下回った金額での売却になってしまう「流動性リスク」があります。

(※1~4までが仕組債特有のリスク、5以降が債券の一般的なリスクです。)

特に仕組債は仕組債特有のリスクとして上記の1~4と6、8には特に留意しなければなりません。(仕組債はオーダーメイド色が強い為、市場での売却が難しく、購入する場合は満期まで保有することが大前提となります。)

最後に

仕組債はデメリットも多いですが、組成の方法によってはリスクを低減させながら、大きなリターンを得ることのできる可能性を秘めた商品です。

商品の仕組み自体はオーダーメイド性が強い為、一言で説明することは困難です。

しかし、もし、「~な対象に投資をしてみたい」というニーズがあれば、一度、最寄りの金融機関へ相談されることをお勧めします。

 

 

 

参考文献:『仕組債入門』、スコット.Y.ペン、ラビ.E.ダッタトレーヤ著、仕組債研究会訳

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