» 中期経営計画を公開すべき理由

2017年1月11日

中期経営計画は「ツール」

貴社で作成されている中期経営計画は、社長が作成してそのまま頭の中にしまっておくもの、となってしまってはいないでしょうか。これはとてももったいなく、中期経営計画はできる範囲で公開すべきものであり、その理由をご紹介します。

中期経営計画の作り方 ~会社を成長させられる経営計画とは~

グーグルやヤフーで「中期経営計画」と検索してみてください。上位には大手企業の中期経営計画が表示されます。もちろん、これらの多くの企業は上場企業であり、すなわち公開企業であるため、会社の経営方針・計画を公開するのは当たり前のことです。しかし、単純に公開企業だから公開するということではなく、中期経営計画を公開することはそれ自体にメリットがあるのです。

そもそも中期経営計画を頭の中だけで作成する人はあまりいません。一般的にはパワーポイントやエクセルを用いて、資料などに図を交えながら、考えていることを可視化し、表現していきます。この時点でそのアウトプットは「ツール」です。ですから、「ツール」として活用すべきです。具体的な活用方法をご紹介していきます。

 

中期経営計画の活用方法

1.社員に対して

社員向けに公開することが、まずは一番大事な活用方法と言えます。実行するのはあくまで社員です。ですから、経営陣がいくら時間をかけて緻密な経営戦略・戦術を練り上げたとしても、それが社員に正しく伝わり、実行されないことにはその中期経営計画はまさに絵に描いた餅で終わります。

弊社では毎年年始に中期経営計画発表会なるものを実施し、社長から全社方針が伝えられ、更に各役員から事業部ごとの方針が伝えられます。

  • 今年会社はどのようなことを成し遂げたいのか?
  • そのためにどのようなチャレンジを計画しているのか?
  • 社員にはどのようなことを期待しているのか?

などが細かく伝えられ、社員の認識を統一していきます。

 

2.株主に対して

中期経営計画は一般的に経営陣によって作成されます。多くの場合、それは取締役会になります。取締役会とは、会社のオーナーである株主の委託を受けて、会社経営を行う組織です。ですから、当然にして委託者である株主に対して、活動の結果報告や今後の活動方針を説明して承認してもらうという工程が発生します。

中小企業の多くはオーナー経営ですが、親族や知人に部分的に出資を受けているケースなどは散見されます。他株主が議決権を持っていて、特にそれが3分の1を超えたり、過半数を超えたりというようなケースにおいては、中期経営計画をしっかりと作成して、経営活動に対する承認を受けることが大事です。

実例をご紹介します。会社の株式を49%保有し、過半数に満たないながらも最大株主であり、実質オーナー経営だと考えていたある経営者がいました。他の株主は何も言わないと高を括りながら、一方でそれなりの経営成績をちゃんと残していたのですが、実際にはその結果が他の株主の期待水準に届いておらず、代表権をはく奪されてしまった、ということがありました。

 

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3.金融機関に対して

経営していく上で金融機関の協力を得ることはとても大事です。そして、中期経営計画を開示することで、その協力を得やすくなる可能性があります。

これはとても分かりやすい話で、企業から融資の相談があれば、金融機関としては当然その用途と回収可能性を考えます。何に使うのかよくわからないのに、多額の融資を希望されるとすれば金融機関としては躊躇せざるを得ません。しかし、その用途が明確であり、合理的であり、そして計画が実現性高く、すなわち回収確率が高いと判断されるものであるとすれば、同じ融資金額であっても金融機関の検討姿勢は全く変わることになります。

中期経営計画がちゃんと作られていれば(会社を成長させられる中期経営計画の作り方はこちらから)、融資の用途は明確、合理的、かつ実現性が高いと見えるはずですので、金融機関の協力を得るためのツールとしてはかなり効果的に働くと考えてよいと思います。

 

4.取引先に対して

取引先に中期経営計画を公開している会社は少ないと思います。弊社では一部の取引先には公開しています。何故なら、金融機関と同じで、協力を得やすくなるからです。

例えば飲食店経営をしている会社であったとして、今年中に10店舗の出店を計画しているとします。これを不動産会社に伝えてあれば、物件を優先的に紹介してもらえる可能性があります。何故なら1店舗しか出店しない可能性のある企業と比べて、自社経由で複数店舗出店してもらえる可能性があるからです。あるいは、これを飲料会社に伝えてあれば、仕入れ価額を検討してもらえる可能性があります。飲料会社としては、今後10店舗との取引を獲得できる可能性があるわけで、競合他社にとられないように今のうちに関係を強化しておきたいと考えるからです。

このように、取引先に対しても中期経営計画をツールとして活用することで、自社に対してポジティブな印象を持ってもらい、結果優位な取引条件を獲得できたり、信頼関係を構築できたりする可能性があります。

執筆者:インクグロウ株式会社 中原 陸

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