» 高級な生地でスーツを仕立てる際は着用する季節も考えて

2017年1月16日

そのスーツはいつ着用されますか

 

スーツを仕立てようと、テーラーに足を運んで初めに思うことは「生地の量」だと思います。ほとんどのテーラーには最低でも常時20~30種類の生地がストックしてあります。それは生地にも対応する季節があるからです。

そこで今回は春夏、秋冬に使用するスーツの生地について記載させて頂きます。

季節に応じた生地を知っていると、テーラーでスーツを仕立てる際に、いつごろに着るスーツだから、この生地で仕立てたいなどと、希望を伝えたうえで、テーラーさんとの会話を楽しめると思います。テーラーさんは職人です。そんなテーラーさんに信頼していただくことで、プロであるテーラーさんから様々な情報を得ることもできます。

スーツを選ぶ際の予備知識については以下を参考にしてください。

(前回コラム「質の良いものを長く着る」 高級スーツを選ぶための予備知識についてはこちら

 

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春夏の生地

 

春夏の生地は、軽く、通気性が良い素材が使われることが多いです。天然素材は一番湿気が逃してくれるのですが、日本の高温多湿という環境に合わせて、近年は化学繊維を使用して仕立てているスーツもあります。

 

具体的な生地については、

  • モヘア

強い張りとコシがあり、独特の光沢感が特徴の生地です。ウールと混合でスーツに使われることが多く、その一番の理由は熱伝導率が低いことです。またウールと混合することで、ウールとモヘアの糸の太さが違うため、その隙間に空気を取り込んで、通気性の良く、肌に設置している面が減ることで比較的涼しくなると言われています。

  • サッカー(シアサッカー)

別名「しじら織り」と呼ばれております。この記事は触れば違いが分かるほど、生地に凹凸があります。そのため、肌の接地面が少なく、涼しく快適に着用できます。少しカジュアルな生地にもなるので、着用する場面を選ぶところが難点です。

 

  • リネン混

リネン(麻)は夏では定番の生地です。吸水性、発散性にとても優れているため、ウールと混合してよく使用されます。しかし、シワができやすい、濃い色だと色落ちが目立ちやすいという欠点もあります。このような欠点からリネン混の生地を使用する場合は1年程でシワや色落ちが目立つようになり、着られなくなってしまうことが多いです。

 

  • コットン

生地で一番有名なコットンですが、やはりカジュアルになるので、ウールとの混合で使用されます。吸湿性と通気性に優れた生地です。こちらもリネン同様に、色落ちなどにより長く着用することは難しいです。

 

  • サマーウール

春夏に一番おすすめの生地です。ウールの糸を細く撚った生地です。シワにもなりにくく、通気性と清涼感が特徴の生地です。暑い夏でもビシッと決まります。

 

  • クールマックス®

アメリカのデュポン社が開発した化学繊維です。吸水速乾性に優れている高機能素材の糸です。昨今、夏用スラックスなどにも使われおり、ご存じの方も多いと思います。

 

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秋冬の生地

 

秋冬の生地は、春夏とは違い空気を取り込んで保温する機能が必要になるため、生地の目は詰まっています。どちからというと秋冬の記事の方がスーツの仕立てはしっかりしています。それは生地自体に重みがあり、尚且つ裏地があるため、縫い目や着用した際に生地の重みで「ドレープ」という生地のたるみができます。私たちの体は曲線です。そのため、ドレープができる生地、仕立てのスーツが体にフィットしやすいスーツであることが言えます。

 

具体的な生地については

  • フランネル

「フラノ」と呼ばれており、保温性が非常に高く、柔らかい肌触りが特徴です。糸が太く、密度が粗いため、その隙間に空気が入り保温します。肌触りも起毛感があり、コートなどにも使われます。

 

  • ツイード

英国産の羊毛を使用した「ハリスツイード」が有名です。(ハリスツイードについては前回コラムでも記載しております) 肌ざわりは少しざらざらしており、糸が太いため存在感があります。スーツで仕立てるというよりは、ジャケット単品で仕立てことが多い生地です。

 

  • ギャバジン

秋冬で一番の使用されている生地です。もともとは作業服の生地として使用されていました。表面はつるつるとしており、光沢感や耐久性、撥水性に優れ、さらには独特のドレープ感がある生地になるので、スーツ以外にも、制服や結婚式用のフォーマルな場でも着用ができる生地になります。

 

  • サキソニー

主にイギリス製の伝統生地になります。生地は薄く、柔かいですが、独特の色合いで高級感があります。フォーマルな場でも使用できる生地になります。

 

  • カシミア

細い糸で織られており、肌触りは柔らかく、独特の光沢感をもっている生地です。最大の特徴は軽いことです。さらに、保温性、保湿性に優れています。唯一の難点は長持ちしないということです。スーツで仕立てる場合はウールとカシミアの混合が耐久性と高級感を体感できる生地になると思います。

 

 

 

 

 

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春夏用、秋冬用によって生地も様々です。普段のお仕事で使用するスーツは耐久性のある生地を選び、レセプションなどに着用するスーツは光沢がありやわらかい生地を選ぶなど、いつ着用するのか、どこで着用するのかをイメージして、オーダーしてみるのも楽しいかもしれません。

インクグロウ株式会社  山田 健司

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