» 2017年飲食業界M&Aまとめてみた

テーマ2017年のM&Aの総括

2017年も多くのM&Aが実施されました。今年1年のM&Aに関する総括と、来年の展望をプロの視点で解説いただきます。

「2017年飲食業界M&Aまとめてみた」

2018年1月12日
照井 久雄

中小企業診断士
インクグロウ株式会社 取締役 事業戦略部長 中小企業診断士 1978年7月生まれ 経営コンサルタントとして提携フランチャイズ本部の立ち上げをした後、証券会社で公開引受業務や中堅中小企業の資金調達の支援を行う。 その後、中小企業を中心としたM&A業務に従事し、2013年にインクグロウ株式会社に入社。現職として数多くのM&Aを成功に導く。

2017年の飲食業界のM&Aについて、まとめていきたいと思います。

最初に、2017年に主に行われたM&Aについてまとめていきたいと思います。

1月31日 ミツウロコがスイートスタイルを子会社化

2月2日  アクロディア 渋谷横丁の株式取得

2月14日 サトレストランシステムズ、すし販事業を梅の花へ

譲渡

3月31日 安楽亭、日総開発より飲食店3店舗譲受

4月3日  グルメ杵屋、銀座田中屋を子会社化

4月17日 TBIホールディングス ホリイフードサービスにTOB 実施

4月27日 ダイヤモンドダイニング 商業芸術を子会社化

5月11日 日本KFC ピザハットなどをファンドへ株式譲渡

5月16日 トリドールHD 香港法人を子会社化

5月19日 レンブラントHD ドムドムなどオレンジフードコートのハンバーガー事業を譲受

6月15日 バルニバービ 老舗料理旅館菊水を子会社化

6月15日 G-FACTORY 、ル・クール及びミツウロコと業務提携(ナポリス)

6月22日 As-meエステール、ヴィレッジヴァンガードの飲食事業を吸収分割により承継

6月27日 チムニーマルシェと資本業務提携

7月10日 アスラポートダイニング、 モミアンドトイ・エンターテイメントを子会社化

7月27日 トリドールHD 大衆酒場「晩杯屋」を買収

7月28日 元気寿司 シンガポール子会社をJapanese Dining Concepts (Asia) Limitedに譲渡

7月31日 ポラリス・キャピタル、チーズタルト店のBAKEを買収

8月8日  ガーデンがスパイスワークス子会社 肉寿司の株式を100%取得

9月7日  日本産業推進機構、SORA GROUPの株式取得

9月8日  給食受託などの日清医療食品、のぼる社の株式取得

9月22日 グルメ杵屋、金港青果と資本業務提携

9月29日 スシロー、神明及び元気寿司と資本業務提携

9月30日 アスラポート・ダイニング、子会社通じ菊家の株式取得

10月3日 日本ハウスHD 銀河高原ビールをヤッホーブルーイングへ譲渡

10月11日 ホットランド、L.A.Styleを完全子会社化および吸収合併

11月15日 DDホールディングス、エスエルディーをTOB

11月15日 トリドール とんこつラーメン「ずんどう屋」買収

11月16日 チムニー、富士マンション及びハマヤフーズより7店舗取得

11月30日 ジェイグループ、博多かわ屋を子会社化

12月4日  トリドール、香港のスパイシー麺レストランチェーン買収

12月18日 投資ファンドのJ-STAR 、越後屋の株式取得

 

上記をみてみると、2017年も活発にM&Aが行われたことがよくわかると思います。

 

この背景には何があるのでしょうか。

飲食業界においてM&Aが活発に行われる背景には3つあると考えてます。

① 人材採用難

② SNSなどの流行による、顧客の嗜好性の変化

③ ファンドの台頭

 

それぞれ見ていきたいと思います。

① 人材採用難

飲食業界は、採用が非常に難しい業界の一つです。特に最近では、雇用環境が改善

されたこともあり、ますます、人材採用が難しくなっております。

2017年にリスクモンスター社の調査によると、就職したくないランキングでトップであるのが

小売・外食業界となっております。(http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/pdf/20170324.pdf)

 

このように、なかなか人材採用が難しい中で、成長戦略を考えた場合、M&Aというのは非常に有効な

手段となります。このようなこともあり、中堅・大手を中心にM&Aが活発的に行われております。

 

② SNSなどの流行による、顧客の嗜好性の変化

SNSや「食べログ」などの口コミサイトの普及によって、顧客の嗜好性がより複雑になってきております。

例えば、今まではチェーン店に行っていれば、ある一定の満足度が得られるので、安心感があったので

その店に行っていた層が、口コミサイトなどを簡単に見ることが出来ることによって、今までは敷居の

高かった「個店」などに行くようになってきてます。このようになると、同一店舗名で行って

きた飲食企業チェーンのビジネスモデルが崩壊してしまいます。まさに今飲食業界に起こっているのは

このようなことなのだと思います。一方、中堅・大手がこのような「個店的な店づくり」が出来るかと

いうとなかなか一朝一夕でいくものでありません。それであれば、すでに、そのようなノウハウをもって

運営している、数店舗から数十店舗の企業を買収するということは、業態開発を1から行うことを考えれば

これまた、非常に有効な手段ということになります。

③ ファンドの台頭

年末には、J-STARというファンドが、越後屋という飲食企業を買収しましたが、このように、ファンドが

飲食企業を買収する事例が昨今増えております。この背景には、一つはゼロ金利政策化で金融機関の資金が

ファンドに資金が流入していることがあります。また、昨今の株式市場の活況もあり、ファンドが投資した先

のEXITとして「上場」というのが、しやすい環境であることもあると思います。

また最近のファンドの投資の手法としては、必ずしも、株式の100%取得を目的としているのではなく、現在の

オーナーに数十パーセントの株式を残しつつ、現オーナーが残りながら企業を成長させ、企業価値をあげるという

ことやるファンドが多いです。

オーナーからすれば、金融のプロと組むことによって、資金や管理面などの協力を得ることが出来て、成長スピードを上げることが出来るというメリットがあります。

 

まさにWIN-WINの関係が築きやすいのもファンドからの出資であると思います。これは2018年以降さらに増えてくると思います。2018年1月4日には、先ほど記載のJ-STARが「相席屋」などを展開しているセクションエイトの株式を取得しております。

 

2018年、ファンドはますます台頭してくるのではないかと思います。

 

このように2017年飲食業界M&A様々なことがありましたが、2018年も目が離せません。

 

その他専門家コラム

  • 「2017年のM&Aを振り返って-M&A一服感の理由」

    川井隆史

    公認会計士

    当時世界最大級の会計・コンサル企業であったアーサーアンダーセン、米コカ・コーラやGEなどのグローバル企業で事業計画やM&A後のインテグレーション責任者など従事後、その経験を生かし外資系日本法人のCFOや上場ベンチャー企業の役員などを経て創業。現在ハンズオン・CFO・パートナーズ㈱ 代表取締役社長として PMI業務(買収後統合業務)や外資系企業・ベンチャー企業の外部CFO業務、経営改善・税務会計コンサルティングなどを行っている。

  • 「2017年のM&A市場の総括と2018年の展望。加速する事業承継型M&A」

    河本秀介

    弁護士

    敬和綜合法律事務所所属。東京大学法学部卒業後、三菱重工業株式会社資金部における4年間の勤務を経て、2007年に弁護士登録。 以後、企業での勤務経験を活かした実践的な角度によるコーポレート分野のリーガルアドバイス、M&Aアドバイス、企業間訴訟などを幅広く手掛けるほか、IT法務や金融・ファンドの分野にも独自の強みを持つ。

  • 「2017年度M&A市場の総括と展望」

    藤原宏高

    弁護士

    弁護士法人ひかり総合法律事務所、代表弁護士の藤原宏高です。 2006年~2014年までミネベア株式会社社外監査役、2016年~現在は、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの社外監査役を務めております。 これまで顧客本位のリーガルサービスを目標として,ワンストップサービスを実現させるべく海外法律事務所ともネットワークを構築し,中小企業の海外進出支援や,中小企業の事業承継とM&A取引などに積極的に取り組んで参りました。