» ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合が持つ意味

テーマファミリーマートとユニーのM&A

平成28年9月、驚くべき内容のM&Aが発表されました。それは、コンビニ大手のファミリーマートと、「サークルK」を運営するユニーグループHDのM&Aです。

コンビニエンスストア業界はセブンイレブンを運営する、セブンアンドアイHD、ローソン、そしてファミリーマート。この3社に追随する形でミニストップ、スリーエフと続いています。

競争著しいコンビニエンス業界で、M&Aはどのように利用をされるのか、今後の業界はどのように推移していくのか、今回もプロの視点から切り込んでまいります。

「ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合が持つ意味」

2017年1月25日
平川智章

M&Aアドバイザー
インクグロウ株式会社 事業戦略部 サブマネージャー M&Aシニアエキスパート 1984年1月生まれ 新卒で入社した会社で中小企業の販路拡大支援業務、フランチャイズの法人営業業務を行う。その後、グループより独立したインクグロウに転籍し、中小企業を中心としたM&A仲介業務を行っている。 北海道東北、関東、関西、東海など全国の企業から依頼を受け、M&A仲介業務を行っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年9月サンクスを運営するユニーグループ・ホールディングスとファミリーマートが経営統合し、新会社「ユニー・ファミリーマートホールディングス」が発足しました。元々、2015年3月に協議開始が発表されていましたが、無事新会社発足に至ったということになります。この誰もが知る2つのコンビニエンスストアの統合が、コンビニ業界にとってどういう意味を持つのか、何をもたらすのか紐解いていきたいと思います。

 

 

~コンビニ業界の歴史~

まずは、そもそものコンビニ業界の歴史から振り返っていきましょう。日本におけるコンビニの歴史は1974年にさかのぼります。この年にオープンしたセブンイレブンが日本初のコンビニエンスストアだと言われています。その翌年には、24時間営業の店舗が出現、徐々に店舗数を伸ばしていきます。平成20年には約42000店舗、平成28年には約54000店舗と、随分前から「コンビニ市場は飽和している」と言われながらも店舗数を増やし続けています。業界売上高についても前年対比を12年連続で上回り続けており、右肩上がりの状況が続いています。但し、企業数でみると50社以上あったものが30社近くまで減少しており、統廃合が進んだことが見てとれます。以下に参考までに1999年のコンビニ売上高ランキングと、直近の比較を記載しております。

 

※1999年コンビニ売上高ランキング

1.セブンイレブン

2.ローソン

3.ファミリーマート

4.デイリーヤマザキ

5.サンクス

6.ミニストップ

7.ampm

8.セイコーマート

9.ポプラ

10.コミニュティストア

11.スリーエフ

12.ココストア

13.HOT SPAR

14.セーブオン

15.モンマート

 

※2015年コンビニ売上高ランキング

1.セブンイレブン

2.ファミリーマート

3.ローソン

4.ミニストップ

5.デイリーヤマザキ

6.セイコーマート

7.JR東日本リテールネット(NewDays)

8.ココストア

9.スリーエフ

10.ポプラ

11.セーブオン

 

 

~今回のM&Aが持つ意味~

なんと言っても1番の意味は、「業界第2位のコンビニエンスストアチェーンができたということです。これまでは、セブンイレブンが1位(約20000店舗)ローソンが2位(約12000店舗)ファミリーマートが3位(約12000店舗)、サークルKサンクスが4位(約6000店舗)となっていましたが、ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合により、業界第2位のチェーンが構成されます。サークルKサンクスの店舗は全てファミリーマートに業態変更されると発表されていますから、閉店などを考慮しない単純合算ではファミリーマートが店舗数でセブンイレブンに肉薄することになります。

 

 

~横たわる問題~

問題になりうるのは

・オーナーとの関係

・ユニーグループ・ホールディングスのスーパー部門をどうするか

という点です。

オーナーとの関係については、例えば契約条件だけ考えてみても、当然ながらコンビニごとに、フランチャイズ加盟金・月々のロイヤリティ・仕入や在庫などの条件が違います。例えばファミリーマートのフランチャイズの条件は、FC加盟料400万円、ロイヤリティ48%(営業総利益が月300万円以下の場合)となっています。一方、サークルKサンクスは、FC加盟料250万円、ロイヤリティ37%(営業総利益が月240万円以下の場合)となっており、ロイヤリティだけでもファミリーマートと10%近く違います。本部の統合により加盟条件を変更すると言ってもオーナーの不満は避けられない部分もあることと思います。

また、ユニーグループ・ホールディングスのスーパー部門をどうするかという問題もあります。これは推察に過ぎませんが、おそらくファミリーマート側はコンビニ事業のみを統合したいという想いがあったのではないでしょうか。しかしM&Aは売り手がYESと言わなければ成立しません。売り手からコンビニ事業だけでは譲渡できないという意思がある中で、全体を引き継ぐ意思決定をしたと想定されます。しかし、ユニーは徐々に利益率が下がっており、経営としては厳しくなっているのも事実です。ファミリーマート側がどのように立て直すのか、あるいは他の方法を考えているのか、非常に見ものになります。

 

 

~総括~

これだけ大きな企業の経営統合ですから、様々な問題が発生する可能性はあります。とは言え業界第2位のチェーンが出来たということが何よりも大きな事実になります。今後のファミリーマート、完全な3強体制に移行したコンビニ業界がどうなるか。今後が楽しみです。

その他専門家コラム

  • 「ファミリーマートとユニーのM&Aについて」

    川井隆史

    公認会計士

    当時世界最大級の会計・コンサル企業であったアーサーアンダーセン、米コカ・コーラやGEなどのグローバル企業で事業計画やM&A後のインテグレーション責任者など従事後、その経験を生かし外資系日本法人のCFOや上場ベンチャー企業の役員などを経て創業。現在ハンズオン・CFO・パートナーズ㈱ 代表取締役社長として PMI業務(買収後統合業務)や外資系企業・ベンチャー企業の外部CFO業務、経営改善・税務会計コンサルティングなどを行っている。

  • 「ファミリーマートとユニーのM&Aについて」

    藤原宏高

    弁護士

    弁護士法人ひかり総合法律事務所、代表弁護士の藤原宏高です。 2006年~2014年までミネベア株式会社社外監査役、2016年~現在は、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの社外監査役を務めております。 これまで顧客本位のリーガルサービスを目標として,ワンストップサービスを実現させるべく海外法律事務所ともネットワークを構築し,中小企業の海外進出支援や,中小企業の事業承継とM&A取引などに積極的に取り組んで参りました。

  • 「ファミリーマートとユニーのM&Aについて」

    家永勲

    弁護士

    家永 勲 弁護士法人ALG&Associates パートナー・弁護士 東京弁護士会所属 上場企業が手がけるM&Aにおける法務DDの責任者として対応するほか、会社法を活用した買収目的に適したスキームの策定等も実践し、M&Aに関わる法務問題を幅広く取り扱っている。 企業法務におけるトラブルへの対応とその予防策に関するセミナーのほかストレスチェックやマイナンバーなど最新の法改正に即したセミナーや執筆も多数行っている。