» クラウドファンディングに乗り出したマネーフォワードの狙いは何か?

テーママネーフォワード、CAMPFIRE、LIFULL Social Fundingの資本業務提携について

9月29日に新規上場したマネーフォワードが、クラウドファンディングプラットフォームCAMPFIREを運営する株式会社CAMPFIRE、クラウドファンディングプラットフォームJAPANGIVING・シューティングスターを運営している株式会社LIFULL Social Fundingと資本業務提携締結を発表しました。

 

マネーフォワードはフィンテック分野で積極的に協業を進めており、今後が注目されます。この資本業務提携をプロの視点で解決します。

「クラウドファンディングに乗り出したマネーフォワードの狙いは何か?」

2017年11月29日
川井隆史

公認会計士
当時世界最大級の会計・コンサル企業であったアーサーアンダーセン、米コカ・コーラやGEなどのグローバル企業で事業計画やM&A後のインテグレーション責任者など従事後、その経験を生かし外資系日本法人のCFOや上場ベンチャー企業の役員などを経て創業。現在ハンズオン・CFO・パートナーズ㈱ 代表取締役社長として PMI業務(買収後統合業務)や外資系企業・ベンチャー企業の外部CFO業務、経営改善・税務会計コンサルティングなどを行っている。

はじめに

9月29日に新規上場を果たした株式会社マネーフォワード(以下MF社)が、購入型クラウドファンディングプラットフォームCAMPFIREを運営している「株式会社CAMPFIRE」(以下CF社)およびクラウドファンディングプラットフォームJAPANGIVING(ジャパンギビング)・シューティングスターを運営している「株式会社LIFULL Social Funding」(以下LSF社)の両社と10月11日に資本業務提携を締結しました。MF社がどの程度の資本参加をしているかは不明ですが、CF社は今年に約10億の資金調達をしたばかりですし、LSF社は一部上場企業である㈱LIFULの子会社ですからおそらくともに少数株主のレベルと思われます。

 

今回の資本業務提携のねらい

 

非常に基本的なことではありますが混乱を招くことはクラウドファンディングのクラウドは英語だと”Crowd”(群衆)であるのに対し、MF社の提供するクラウドサービスのクラウドは英語で言うと“Cloud”(雲)であり、語感は似ていますが全く別物です。したがって、MF社が行っている金融サービスでのつながりはクラウドファンディングサービスとは多少あるかもしれませんが、クラウドサービスとのつながりはほとんどありません。つまりMFの事業の展開として今回の資本業務提携はわかりにくく、私が以前申し上げた戦略(経営企画)型、セールス(営業)型どちらか一見はっきりしない型です。(詳しくは以前の記事参照)http://ma-jouhouhiroba.jp/procmmt_column/20161123003/

それぞれの企業のプレスリリースや決算発表からみると、基本的にはマネーフォワードのユーザー基盤にクラウドファンディングを紹介していくことが当面の方向性に見えます。そういった意味では顧客ベースを増やしていくセールス型ではなく、新しい分野を切り開いていく戦略型に近いといえるかもしれません。

 

今回の買収の課題

MF社のビジネスモデルとしていわゆるサブスクリプションモデルと経営陣は述べています。つまりいったん顧客を獲得するとその顧客との関係は長く続き顧客一人当たりの生涯獲得金額は長い付き合いのため、大きくなる傾向があります。一方その一顧客当たりの顧客獲得のためのコスト(営業コスト、マーケティングコスト)は獲得時にかかります。したがって顧客ベースを急速に拡大すればするほど最初に巨額の顧客獲得コストがかかり、一方収益は獲得後毎年少しずつ回収していくため、必然的に赤字幅は大きくなってしまいます。ただし現在ある顧客ベースに様々なメニューを用意することにより現状の顧客ベースの毎年の収益を上方にシフトさせることが可能となります。一方国内のクラウドファンディング市場は、2013年度の約125億円から、2017年度は約1,090億円と年率72%の割合で急拡大しております(出典:2017年9月7日、矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2017年)」より年間の新規プロジェクト支援額ベースに算出)。  このような急成長市場において現状の顧客ベースからの収益の上積みを狙っているとは想像されますが、以前、述べたようにこういったシナジーを狙う戦略型はある程度閃きが必要な分野であるので、このあたりの成功の可否は外部の人間からは非常にわかりにくいものがあります。

MF社上場時約20億円程度調達していますから、その後最初の資本業務提携ということになります。上場したばかりの新興企業は往々にしてやや出資などに対し甘めになりがちな傾向があり、投資してほしい企業も比較的気前よく出資してくれそうな先として注目する傾向があります。内容的に業務提携というのならば特に普通だと思うのですが資本業務提携という形にはややそういった意味で違和感があります。ただ、実際の議決権比率等がわからないので何とも言えませんが、やはり中途半端な資本の投下というのはやや懸念材料ではあります。

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    河本秀介

    弁護士

    敬和綜合法律事務所所属。東京大学法学部卒業後、三菱重工業株式会社資金部における4年間の勤務を経て、2007年に弁護士登録。 以後、企業での勤務経験を活かした実践的な角度によるコーポレート分野のリーガルアドバイス、M&Aアドバイス、企業間訴訟などを幅広く手掛けるほか、IT法務や金融・ファンドの分野にも独自の強みを持つ。