» 貸付型クラウドファンディングのアプリ対応は実現するか

テーママネーフォワード、CAMPFIRE、LIFULL Social Fundingの資本業務提携について

9月29日に新規上場したマネーフォワードが、クラウドファンディングプラットフォームCAMPFIREを運営する株式会社CAMPFIRE、クラウドファンディングプラットフォームJAPANGIVING・シューティングスターを運営している株式会社LIFULL Social Fundingと資本業務提携締結を発表しました。

 

マネーフォワードはフィンテック分野で積極的に協業を進めており、今後が注目されます。この資本業務提携をプロの視点で解決します。

「貸付型クラウドファンディングのアプリ対応は実現するか」

2017年11月29日
河本秀介

弁護士
敬和綜合法律事務所所属。東京大学法学部卒業後、三菱重工業株式会社資金部における4年間の勤務を経て、2007年に弁護士登録。 以後、企業での勤務経験を活かした実践的な角度によるコーポレート分野のリーガルアドバイス、M&Aアドバイス、企業間訴訟などを幅広く手掛けるほか、IT法務や金融・ファンドの分野にも独自の強みを持つ。

1 マネーフォワードとクラウドファンディング事業者2社の資本業務提携

 

株式会社マネーフォワード(以下「マネーフォワード」)は平成29年10月18日、株式会社CAMPFIRE(以下「CAMPFIRE」)及び株式会社LIFULL Social Funding(以下「LSF」)と、それぞれ資本業務提携を実施したことを公表しました。

業務提携の具体的な内容や、3社の資本関係がどう変動するのかについてはほとんど明らかにされていないものの、資本業務提携の目的は、CAMPFIRE、LSFのクラウドファンディング事業の強化にあるようです。

CAMPFIRE、LSFの両社のプレスリリース内には、今後、マネーフォワードが運営するウェブメディア「MONEY PLUS」やユーザー基盤を活用したクラウドファンディング・サービスの拡大や、新商品の開発などを行う予定であることが明かされています。

 

 

2 資本業務提携の思惑とは

 

さて、マネーフォワードによるクラウドファンディング事業者2社との資本業務提携が、具体的にどこまでを想定したものかは、現時点では分からないものの、3社の業態などから推測してみます。

まず、当コラムの拙稿、「ネットマーケティング事業者がクラウドファンディング事業に出資した思惑とは?」にも触れましたが、CAMPFIREは日本国内におけるクラウドファンディングの最大手です。現在は、購入型のクラウドファンディングを中心に取り扱っていますが、今後貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンティング)の分野におけるサービス拡大を図っているところです。

また、LSFは、不動産情報サービス会社である株式会社LIFULLの子会社です。現在は寄付型のクラウドファンディングを取り扱っていますが、やはり、今後、貸付型や不動産領域へのクラウドファンディングへのサービス拡大を計画しています。

他方のマネーフォワードは、銀行などの金融機関と連動した家計簿や貯金といった資産管理アプリの開発・運営のほか、お金に関する情報提供を目的としたウェブメディア(MONEY PLUS)を運営しています。

今後、CAMPFIRE、LSFが、購入型・寄付型の既存のサービスから、より資産運用の手段としての側面が強い貸付型のサービスを拡大するに際して、まずはマネーフォワードが自社のウェブメディアでサービスを紹介したり、ウェブメディアの運営で培ったノウハウを提供するなどが想定されていると推測されます。

さらには、マネーフォワードが銀行口座と連動した資産管理アプリの開発・運営をしていることからすると、そういったアプリ上から、CAMPFIREやLSFが取り扱う貸付型クラウドファンディングに直接申し込むことができるようなサービスを展開することも考えられそうです。

 

3 許認可との関係

 

さて、仮定の話として、マネーフォワードが自社のアプリ上で、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の申し込みができるようなサービスを今後展開するのであれば、金融商品取引法に定める内部管理体制を整えたうえで、第二種金融商品取引業の登録を受ける必要が生じる可能性があります。

 

現時点の日本国内の貸付型クラウドファンディングは、投資家に貸金業法が適用されることを回避するなどの理由から、融資と匿名組合出資を組み合わせるスキームが主流です。

このスキームでは、ウェブサイトを閲覧して資金提供に応じる投資家(「資金提供者」)は、資金を必要とする個人事業主や企業など(「資金需要者」)に対して直接融資することはしません。

資金提供者は、まず資金需要者とは別の貸金業者(多くの場合、貸付型クラウドファンディング・サービスを提供する会社自身や、その関連会社)に対して匿名組合出資します(下図①)。

そして、匿名組合出資を受けた貸金業者が、資金需要者に対して融資を行い(下図②)、資金需要者から貸付金の元本・利息を受け取り(下図③)、利息から生じた収益を資金提供者に配当ないし分配する(下図④)ことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、このようなスキームの下で資金提供者が取得する匿名組合の出資持分は、金融商品取引法2条2項5号に定める有価証券にあたります。

また、匿名組合出資を受ける事業者以外の者が投資家に向けた出資の勧誘を行う行為は、有価証券の募集又は私募の取扱い(同9号)にあたり、実施するためには第二種金融商品取引業(「二種業」)の登録を受ける必要があります(金商法28条2項、29条)。

そして、アプリ上にクラウドファンディングの応募内容を表示したり、アプリ上から申込みをさせ、申込み内容を匿名組合の営業者に取り次ぐことは「有価証券の募集又は私募の取扱い」にあたる可能性があり、二種業の登録が必要です。

 

現状、マネーフォワードとLSFは二種業の登録を受けていません(CAMPFIREは関連会社が二種業の登録を受けています)。今後、マネーフォワード自身が金融商品取引業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を置くなどの内部管理体制を整えて二種業の登録を受けたり、業務提携関係にあるCAMPFIREの関連会社の二種業登録を活用するスキームを構築するなどしてライセンス面での整備を図り、アプリ上でクラウドファンディングの申込みを取り扱うことは十分考えられるように思います。

 

今回の資本業務提携が、本当にそこまで見据えたものかは定かではありません。しかし、急速に市場拡大するクラウドファンディングに関連して、スマートフォンアプリやウェブメディアを活かした面白い取り組みが出てくることに期待したいと思います。

 

 

その他専門家コラム

  • 「クラウドファンディングに乗り出したマネーフォワードの狙いは何か?」

    川井隆史

    公認会計士

    当時世界最大級の会計・コンサル企業であったアーサーアンダーセン、米コカ・コーラやGEなどのグローバル企業で事業計画やM&A後のインテグレーション責任者など従事後、その経験を生かし外資系日本法人のCFOや上場ベンチャー企業の役員などを経て創業。現在ハンズオン・CFO・パートナーズ㈱ 代表取締役社長として PMI業務(買収後統合業務)や外資系企業・ベンチャー企業の外部CFO業務、経営改善・税務会計コンサルティングなどを行っている。