» 「後継者問題の解消」

後継者の不在

後継者の不在

2017年には団塊世代の経営者は70歳を迎えますが、交代率は低いままで、経営者の交代が進んでいないことが分かります。

中小企業白書2014によると、中規模企業で自分の代で廃業することもやむを得ないと考えている経営者の割合は5.4%で、そのなかの35.4%がそう考える前に事業承継を検討したと回答しています。

廃業を考える背景としては、将来の事業低迷が予測されることや後継者が見付からないなどの理由があげられます。

また、以前は経営者の親族内での承継が多く見られましたが、最近はそれも減る傾向があります。その理由としては、以下のことなどがあります。

  • ・経営者に子供がいない
  • ・子供の経営能力に問題がある
  • ・子供は別会社で活躍しており承継の意志が無い
  • ・将来、経営環境が悪化した場合を考えると継がせたくない

廃業のデメリット

経営者はそれまで必死になって会社を育ててきたはずです。

寝食を忘れ、仕事に没頭したこともあったでしょう。

そこまでして育ててきた会社であるにもかかわらず承継させる人物が見つからず、廃業してしまうと、今までの苦労が世の中に残ることなく消滅してしまいます。

それ以外にも以下のようなデメリットがあります。

・会社の負債が個人負担となる
中小企業における金融機関などからの借入は、ほとんどの場合、経営者の連帯保証が必要です。会社を廃業してしまうと、経営者本人の個人債務となってしまいます。
高齢で仕事から引退したくて廃業したにもかかわらず、債務は付いてまわることになります。
・設備や土地建物は価値が下がる
廃業する場合は資産の処分となってしまい、おのずと評価額が低くなります。
機械などの設備はゼロ評価になることも多く、建物も同様です。
在庫商品や土地でさえ半値程になってしまいます。
もし借入金の額が多い場合は、これらの処分で賄えないケースも出てきます。
・従業員の雇用を守れない
今まで一緒に頑張ってくれた従業員の雇用を守れず、従業員の家族の生活まで不安定になります。
・今まで蓄積したノウハウや技術が生かされない
長年事業を続けてきた間に蓄積した多くのノウハウや技術が、活かされることなく消滅してしまいます。
・顧客や取引先への迷惑
今まで購入してくれていた顧客が別の商品などを探さねばならなくなります。
また、今まで協力してくれていた取引先に対しても同様に迷惑をかけてしまいます。

難しい従業員への譲渡

従業員に会社を譲渡しようとした場合、その従業員には以下のものが要求されます。

・会社の事業価値に見合うだけの買い取り資金の用意
会社としての純資産価値に加え、営業権なども含めると相当の金額になる場合が多いですが、それだけの金額を用意しなくてはならなくなります。
・会社の借入金に対する債務保証や担保提供
中小企業の場合、会社の金融機関からの借入に対しては、経営者が債務保証や担保提供している場合がほとんどです。
そのため承継させたい従業員もこの債務保証や担保提供をしなくてはいけませんが、多くの場合、従業員に提供できる担保が無く、信用力も現経営者より劣るため、金融機関が保証人の切り替えに納得しないケースが多く見られます。また、現経営者が担保提供していた場合、その解除も難しいようです。
・経営能力
従業員の立場で、ある特定分野での仕事ぶりが有能であっても、会社を経営していく能力に長けているとは限りません。

上記の要素が承継する従業員には必要となります。

これらのものが用意、もしくは備わっていない限り、従業員への承継は難しいと考えられます。

M&Aで事業承継

事業承継にM&Aを活用するメリット

親族内や従業員に事業を承継できる人物がいない場合、選択肢としてM&Aによって会社や事業を、他の企業に承継してもらう手法があります。

M&Aで事業承継してもらうメリットとしては以下のことがあげられます。

・創業者利益を受け取ることができる
廃業も創業者利益実現の手法ではありますが、廃業は前述したように、マイナス要素が大きくなるのが実情です。
M&Aによる譲渡の場合、純資産価額に営業権の評価額を加えた金額で譲渡されます。
なお営業権評価額は、税引後当期利益の数年分を計算するのが一般的です。
そのためM&Aによる譲渡の方が、経営者の手取り額が多くなり、創業者利益として受け取ることができます。
・自身が生み出したノウハウや技術などが存続していく
経営者が今までの事業活動の中で生み出してきたノウハウや技術などが、承継した会社の中で存続し、社会に役立ててもらうことができます。
・従業員の雇用は守られ、成長の機会も増える
M&Aで会社を譲渡しても、従業員の雇用が守られるケースがほとんどです。
また承継先企業は事業の充実や拡大を考えてM&Aを実施しているため、元の会社より規模や資本力が大きいケースがほとんどで、従業員の業務領域も拡大し、成長機会も多くなります。
その場合、優秀な人材なら、給与面でも厚遇されることが考えられます。
・債務の個人保証、担保の提供からの解放
M&Aで会社を譲渡した場合、買収企業が債務を引き受けるケースがほとんどです。
そのため、金融機関に対しての個人保証や提供していた担保からも解放されます。
・役員などとして事業に関わることができるケースも
経営者は、それまでの経営での実績やノウハウ、技術を持っている場合が多く、M&A後も、何らかの形でそれまでの事業に関わり、アドバイスを求められるケースも多くあります。