ビジライフ

2017.1.13

経営者なら誰でも気になる役員報酬

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役員報酬をテーマに連載をさせていただくことになりました。

皆様、役員報酬というとどんなことを思い浮かべられるでしょうか。役員報酬という言葉が曖昧なので、月額報酬、賞与、ストックオプションなど、人によって様々なことを思い浮かべられるかもしれません。
そこで、まずは辞書的な意味合いから確認してみましょう。

役員報酬とは

Weblioの辞書
http://www.weblio.jp/content/%E5%BD%B9%E5%93%A1%E5%A0%B1%E9%85%AC )には、
「『月次報酬』『役員賞与』『退職慰労金』『ストックオプション』など役員に支払われる報酬の総称のこと。」と記載されています。要は役員が得る報酬全てということですね。(会社から無償で譲り受けたもの、無償ではないが市場価格より安く買い取ったものなども含まれます)但し、日本では、特に社長の場合、企業オーナーを兼ねていることが多くあります。そのため、このコラムでは「株主且つ代表取締役」、いわゆる「オーナー社長」の収入について書いていきたいと思います。オーナー社長となると、役員報酬だけでなく、株主配当・株式の譲渡益なども収入に含まれます。それぞれ関連しており、どちらを増やせばどちらが減るという関係のものもあります。まずは、役員報酬と合わせてどういったものがあるのか整理していきましょう。

~役員報酬~

①定期同額給与:一定期間ごと(毎月など)に支払われる定額の月額報酬。損金算入可能

②賞与
a.事前確定届出給与:事前に税務署に届け出をし、支給された賞与。損金算入可能。
b.利益連動給与:業績連動型の賞与。一定の要件を満たせば損金算入可能。(同族会社での利用は不可。主に大会社向けの制度)
c.役員賞与(事前の届出なし):a,b以外の役員賞与。損金算入不可能。

③退職金:役員を退職する時に支払われるお金。

④ストックオプション:現金の代わりに支給される自社株式。

※それぞれ「損金算入できるかどうか」というのがポイントです。損金算入できれば法人税の節税効果があります。そうでない場合は役員報酬、企業の利益のそれぞれに税金がかかることになります

~株主の利益~

・株主配当:利益に応じて出資者に分配されるお金。

・株式の譲渡益:保有する株式を売却した際に得られる利益。元々の株式取得額を下回ると損になるケースもある。

主には上記でしょうか。従業員の場合は単に給料を上げることだけ考えれば良いのに対して、オーナー社長はそうは行きません。自身の手取りを増やせば会社の現金が減ります。どのような形が最適なのか、それぞれの報酬の特性を理解しながら考える必要があります。

定期同額給与

さて、そのような訳で今回は、定期同額給与(一定期間ごとに支払われる定額の月額報酬)について説明させていただきます。毎月の報酬ですから一番ベーシックなものですね。この定期同額給与について少しだけ掘り下げていきたいと思います。まずは、従業員給与との違いから抑えていきましょう。

一番大きな違いは、損金にならない可能性がある(月ごとに変動する場合など)ということです。経営の結果として利益がでます。経営者とすると、「自分が経営して利益が出たんだから、ボーナスを多くほしい」と思うのは当然のことかもしれません。しかし、このようなことは認められていません(損金算入が認められていないという意味です)。というのは、経営者が利益が出たからと言って賞与をその分だけ増やしていては会社の利益が全て持っていかれてしまい、税金が取れなくなってしまうからです。このため、定額部分を超えて月額報酬を増やした場合、通常の所得税や住民税、社会保険料も増加しながら、一方で法人税も増え、2重に課税されるケースがあるなど、厳格に制度が定められています。参考までに国税庁のホームページに記載されている内容を転記いたします。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5209.htm

1 定期同額給与
定期同額給与とは次に掲げる給与です。

(1) その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの

(2) 定期給与の額につき、次に掲げる改定(以下「給与改定」といいます。)がされた場合におけるその事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの

イ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定。ただし、その3か月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの

ロ その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたその役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除きます。)

ハ その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、イ及びロに掲げる改定を除きます。)

(3) 継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの

少し言葉が難しいですね。簡易に説明しますと、

・毎月(一定期間ごと)同額
・金額については、決算終了後3か月以内に決定しなければならない
・但し、業績の悪化、職務の変更などやむを得ない事情がある場合は改定することができる

という内容です。このようなルールにのっとって決めてあれば従業員給与と同様、損金算入できます。そうでなければ損金算入できず、給与に対する所得税等に加えて法人税までかかってしまうことになります。そのため、会社の通期の業績予測をきちんと立て、その上で給与を決めることが重要になります。

上場企業の役員報酬

ここで少し話題を変えまして、上場企業の役員報酬を紹介させていただきます。年間1億円以上の役員報酬を得た方は氏名と金額を開示しなければならないと金融庁に義務づけられています。好評数値では、1億円以上の役員報酬を得ている方は、211社414人だったそうです。これは昨年の413人を1人上回り、過去最高の数値です。ちなみに1億円以上の報酬の役員が1番多いのは三菱電機で23人であったそうです。ランキングには有名経営者が名前を連ねていますので一部紹介させていただきます。

  • ニケシュ・アローラ(ソフトバンクグループ):6,478百万円
  • ロナルド・フィッシャー(ソフトバンクグループ):2,096百万円
  • 大西通義(アオイ電子):1,168百万円
  • カルロス ゴーン(日産自動車):1,071百万円
  • 岡田和生(ユニバーサルエンターテイメント):948百万円
  • 平井一夫(ソニー):794百万円
  • 稲葉義治(ファナック):690百万円
  • リチャードイーシュナイダー(ファナック):468百万円
  • 山口賢治(ファナック):457百万円
  • 内田裕之(ファナック):457百万円
  • 権田与志広(ファナック):457百万円
  • 里見治(セガサミーホールディングス):690百万円
  • 松浦勝人(エイベックス・グループ・ホールディングス):388百万

個人報酬額の最高は、ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長。金額は64億7,800万円であったそうです。羨ましい限りですね。ファナック社の方が5名ランクインしているのも印象的です。ちなみに日産のカルロス ゴーンの報酬は約10億程ですが、これはTOYOTAの全役員の報酬を足し合わせたものに近いそうです。

実際役員報酬はどの程度にすれば良いのか

さて、世間の話は置いておいて、話を元に戻します。では、実際役員報酬をどの程度にすれば良いのでしょうか。色々と探した結果、以下のサイトに分かりやすい解説が書いてありました。

役員報酬の決め方3のポイントと5の裏ワザ【設立2年目以降版】

当サイトによると、

・役員報酬控除前利益が年間600万円以内なら役員報酬で全額(月額50万円)もらった方が得
・役員報酬控除前利益が年600万円超2,600万円の間は役員報酬は年間600万円(月額50万円)程度に抑えた方が得
・役員報酬控除前利益が年間2,600万円を超えたら役員報酬は年間1,500万円(月額125万円)に向けて上げていくのが得

というのが目安になるそうです。

これは「社長の手取りと会社に残る利益を最大化する」という前提で計算されています。(税制改正等の様々な要因により、当サイトに記載されている事項が誤ったものになる可能性がございます。実際に算定する場合には必ず税理士に相談の上、お決めください)「赤字になる程は役員報酬を取らない」と仮定すると、「役員報酬控除前利益=役員報酬(税引き前)+会社に残すお金(税引き前)」となります。基本的には役員報酬と会社に残すお金はどちらかが減ればどちらかが増えるというシーソーのような関係になっています。但し、それぞれ「税引き前」であることがポイントで、どちらにどの程度振り分けるかによって税金が変わります。「社長の手取りと会社に残る利益を最大化する」というのは要するに、この税金をどれだけ減らせるかという考え方になります。

では具体的にどんな税金がかかるかを見ていきましょう。まず会社の利益には①事業税、②法人税割 、③均等割がかかります。一方で役員報酬にはどんなものがかかるかと言いますと、①所得税、②住民税、③健康保険料、④厚生年金保険料がかかります。それぞれに税率が定められており、これをどう最小化するかということになります。

今回この計算方法まで紹介しようと思いましたが、実はかなり複雑です。特に社会保険料は手取りを減らす項目でありながら一方で所得税の控除項目として手取りを増やす効果があるなどかなり複雑です。そこで、具体的な計算方法について次のコラムに持ち越させていただければと思います。次回の号は2017年1月中旬に掲載させていただく予定です。是非お楽しみに!