» 中期経営計画 ~経営理念を明確にする~

2017年2月8日

中期経営計画の核となる経営理念についてご紹介します。皆さんの会社では、 「先代から会社を引き継いだ後、社員が自分の思ったような行動をしてくれない」「行動にバラつきがある」「会社全体でまとまりがなくなった」 などの悩みを抱えていませんか?

創業時から先代と苦楽を共にしてきた幹部は「阿吽の呼吸」で仕事をし、 「経営理念」がなくても先代の思いが伝わっていたかもしれません。しかし代が変わり、新しい社員が入ってくれば先代の思いが伝わりにくくなります。 「経営理念」は、バラバラになりがちな社員の〝心〞を一 つにする大切な役割を果たします。この「経営理念」の大切さについてお伝えします。中期経営計画にはこの経営理念を軸とする必要があります。

中期経営計画の作り方 ~会社を成長させられる経営計画とは~

 

経営理念とは

そもそも「経営理念」とは何なのでしょうか。

経営者であれば「自分たちはこうありたい」 「社会に対してこのような貢献をしたい」との想いをお持ちだと思います。この会社の存在意義を明文化したのが「経営理念」です。おとぎ話の桃太郎が経営理念を掲げていたら、おそらく「困っている人がいれば助ける」というものだったでしょう。

桃太郎が理念を掲げず、鬼を倒して財宝を手に入れることだけを考えていたら、おじいさんとおばあさんは共感してくれず、イヌ、サル、キジも仲間になってくれなかったかもしれません。たとえ仲間になったとしても、財宝が目当て。鬼を倒した後、喧嘩が始まったかもしれません。

この「財宝目当て」を現代の会社に当てはめると、 「年間売上 10 億円達成する!」と数値目標だけを掲げ、お金儲けに共感する人ばかりが集まることになります。そういう人は、会社の方針と違う売り方で商品を売ったり、強引に売上を上げようとしたりするかもしれません。

では、経営理念をつくるメリットを次に挙げていきます。

  • 経営の基本的な判断基準になる
  • 価値観を共有できる
  • 士気が高まる
  • 継続的な努力の源泉になる
  • 苦しい時の心のよりどころとなる
  • 対外的なイメージが向上する
  • 金額的な目標ではなく、みんなが共感できる

「経営理念」を掲げていれば、これらのメリットを活かすことができます。経営理念は経営計画の核。まだつくっていないのであれば、せっかくの機会です。次につくり方を記載しますので、それを参考につくってみましょう!

 

経営理念のつくり方

では、どのように経営理念を作成すればいいのでしょう?創業者が健在の場合、創業時の話を聞き、「なぜこの会社をつくろうと思ったか(会社の目的・存在理由) 」 「会社をつくり、どんなよいことをしたかったか(社会的使命感) 」をまとめてみて下さい。ここでのポイントは社長自身の言葉で表現するということです。他社の経営理念を参照してもいいですが、借りてきた言葉には魂がこもりません。表現は下手でも構いませんので、自分自身の言葉でまとめるようにして下さい。

次に「社会全体に対して」 「顧客に対して」 「社員に対して」というキーワードを意識し、経営理念を作成してみて下さい。

ゲーム会社で知られる株式会社カプコンは『遊文化をクリエイトする感性開発企業』を企業理念とし、その基本理念を『ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、多くの人に「感動」を与えるソフト開発をメインとする「感性開発企業」 』としています。ここでは社会全体に対して「遊文化」を、顧客に対しては「感動」を提供し、社員に対しては 「ソフト開発」を行っていくと明確に伝えています。経営理念には特に決まりはありませんが、これらのキーワードを入れると分かりやすくなります。伝わりやすくするには、簡潔な言葉や文章で書くこともポイントです。

ソフトバンク株式会社の経営理念は『情報革命で人々を幸せに』というシンプルなものです。最近、ソフトバンクは「ペッパー」というロボットをつくりました。一瞬、「何でソフトバンクがロボットをつくったのか」と疑問に感じるかもしれませんが、 『情報革命で人々を幸せに』という経営理念に照らし合わせてみると、 「ロボットが将来家庭の中で役に立って欲しい」という想いが経営理念と矛盾していないことが分かります。もしソフトバンクが農業を手掛けたとしても、そこに情報革命が存在し、美味しくて新鮮な野菜が提供されるのであれば、矛盾は生じません。

逆に、経営理念がないと経営にブレが生じ、従業員をはじめ取引先からも不信感が生まれる可能性があります。

 

経営理念の使い方

経営理念が実際の経営判断においてどの程度実践できているかという調査があります。平成22年3月の関東経済産業局の報告書によると、活力ある中小企業の約33%が経営理念が社内に「ほぼ浸透している」と回答したのに対し、赤字基調企業は約17.4%と経営理念の浸透が少なくなっていることが分かります。この結果から、経営理念は会社を成長させるためにも重要だとわかります。

では、経営理念をどう浸透させていけばよいかというと、まず社長自らが実践することを心がけます。朝礼などで身近な体験談などを用いて話をし、経営理念に沿った行動をします。社員は社長の言動を見ていないようで見ています。社長が経営理念と一貫した言動を行っていれば社員の共感を生むことができるのです。

次に、経営理念は一度確認して終わりではなく、さまざまな機会に繰り返し伝えます。経営理念が浸透するまでには時間がかかります。理念に基づいて行動した社員が理念を共感する体験をしたなど、理念共感について社員が発表する機会を設け、全員が体験を共有できるようにして下さい。

執筆者 インクグロウ株式会社 中原 陸

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