買い手から見た時に魅力的に映る会社とは、すなわち譲渡しやすい会社と言えます。
ここで挙げることは、全てを満たしていなければ譲渡できないということではありません。
幾つかが合致していれば、買収の決定的要素とは言えないものの、買い手企業にとって魅力的に映ります。
また買い手企業が魅力的だと感じれば、それだけM&Aが成立しやすく、手続きなどもスムーズに進む可能性が高まります。
会社の個性として
・特筆すべきノウハウや技術を保有している
他の会社には無い、ノウハウや技術を持っており、なおかつ買い手企業はそれらを持っていないために、有意義に働くと考えられる場合。
・許認可や特許を保有している
取得するのに時間がかかったり、他社では取得できない許認可や特許を保有していると、買い手企業にとって非常に魅力的な企業に映ります。
経営者について
・企業理念や経営方針などが合致
譲渡企業の経営者が考えている企業理念や経営方針などが買収企業経営者と似通っている場合は、買収企業にとって引き継ぎやすく、コントロールしやすいと感じるため、好印象につながります。
・人柄に信頼感を感じる
M&Aはビジネスとして割り切ってできるものではなく、それに関わる全ての人の信頼関係で成り立ちます。
そのため、経営者同士が信頼感を感じれば、会社そのものに対しても信頼感を抱くことにもなっていきます。
事業内容について
・市場が拡大しつつある
市場規模が縮小しつつある業種や業態より、市場が拡大しつつある業種の方が、今後の展開によってはシナジー効果や業績アップにつながりやすいと考えられます。
・規模の経済が期待できる
その企業を買収することで、会社全体の全ての購買力が上がり、それに伴って労せずとも利益率の改善につながっていくと考えられる場合。
・安定した顧客がいる
その会社の商品やサービス、ブランドなどに長年にわたる顧客が付いている場合は、M&Aによって、その顧客も一緒に手に入れることができると考えられ、買収企業にとって魅力的に感じます。
財務内容について
・売り上げや利益が安定もしくは向上
売上や利益はその企業の現状を表しており、安定もしくは向上しているようであれば、買収企業が経営資源を投下することで、更に業績を高めることができると考えられる。
・借入金比率が高くない
M&Aによる譲渡では、買収企業は債務に関しても引き受けることがほとんどであり、例え成長戦略に有効なポテンシャルがあると感じていたとしても、ネガティブな印象を持ってしまいがちになる。
社内体制について
・経営者だけでなく、従業員もノウハウや技術などを持っている
ノウハウや技術は経営者だけではなく、従業員にも伝承されている場合は、買収して当該経営者が不在になったとしても、今まで通り生かせることが分かるため、魅力を感じる要素となります。
ただし、M&Aでは元経営者が譲渡後も顧問的立場で会社に残るケースもあり、一概に当てはまるとは言い切れません。
・社長がいなくても円滑に業務がこなせる
業務の権限が社内の各部署に移譲されていれば、M&Aにより経営者が変わった場合でも業務そのものに支障は出ないと判断できる。
・業務上のコンプライアンスなどに問題が無い
簿外債務なども無く、業務のコンプライアンスに問題が無ければ、信頼度も高まります。
M&Aの過程において
・質問への誠実な回答
買い手企業との交渉に際し、答えづらい質問があるケースも多く、その際にはできるだけ誠実な回答をすることが信頼感にもつながっていきます。
・M&A交渉中の業績維持
M&Aの交渉に入った途端、業績が悪化すると印象は良くありません。
例え交渉中であっても、業績は今まで通りを維持することが大切です。