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2016.12.14

総合メディカルとみよの台薬局のM&Aについて

2017.2.1

総合メディカルとみよの台薬局のM&Aについて

漆山伸一
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調剤薬局の現状

皆さん調剤薬局行ったことありますよね、行ったことないという方は、よほど健康か医者嫌いで薬を服用しない方、いずれかすね。皆さんは、いつも行く調剤薬局を決めてますか、最近でこそ「かかりつけ調剤薬局」なるものが推奨され、お薬手帳とともにかかりつけ薬局を決めている方が多いかもしれません。しかし大多数の方は、よく行く医者の近くか、自宅、職場の近くの調剤薬局で薬を入手しているのではないでしょうか。

調剤薬局は医師の処方箋に基づいて薬を患者さんに渡すので、正直どこでも渡される薬は一緒になります。(もちろん最近はジェネリックなどを進めてくれる薬局もあります。)結果事業の差別化は非常に難しい業界になります。

又、近年の医療費の増加に伴い薬価差額、つまり調剤薬局が薬を販売する際の利益がだんだん引き下げられ、なかなか利益を出すのが難しい業態になってきています。具体的に業界最大手のアインファーマシーと業界4位の総合メディカルの財務数値を見てみましょう。

業界としては、売上総利益率は14%から15%前後と非常に低調です。薬の販売による粗利が非常に低いのです。営業利益率は、アンファーマシーが6%前後、これに対し総合メディカルは5%前後になります。ただ、ここでの1%も営業利益の金額ベースでは、アンファーマシーが146億(16/4期)に対して総合メディカルは61億(16/3期)と大きく溝をあけられています。

調剤薬局、総合メディカルの戦略

では調剤薬局の生き残る道はどのようなものになるのでしょうか。そもそも、粗利が低いわけですので、営業利益を増大させ、営業キャッシュフローを増加させるには、売上高を上げて、同時に固定費の引き下げを図り損益分岐点率(損益分岐点売上高/売上高)を引き下げることに他なりません。

事実、アインファーマシーは34%、総合メディカルも28%この4年間で売上高を増加させています。これはまさしく、店舗数を増加させる以外には達成できません。ではどのように店舗数を増加させているのでしょうか。もちろん、新規の出店店舗をリサーチして出店することもあります。どのような場所でしょうか、簡単です。近くにクリニック、病院がありかつ処方箋を多く出してくれ、さらに近くに調剤薬局がない場所です。そんな場所、あるでしょうか? 皆さんもお分かりの通り、そんな場所はもうありません。ではどのようにすれば良いのでしょうか?それは

・少数店舗を吸収
・自らクリニックを開設して、そこに調剤薬局を開設する

この2つしかありません。個人経営に近い調剤薬局は、薬価差額が小さくなったので経営が厳しい状態にありますし、中堅の調剤薬局はある程度まとまった金額で薬局を売却することが可能となります。そこで、この業界ではM&Aが非常に盛んです。

又、大手の調剤薬局はM&Aを繰り返した結果かなり財務基盤も強固になってきたので、自ら医療モールや、医療ビルの開発、経営にも積極的に参加しています。この傾向は今後も続くと思います。結果、調剤薬局の業界はさらに寡占化が進み、生き残りをかけたM&Aがだまだ続くと思われます。私の私見では更に業界再編につながる大型合併もそう遠い将来ではないと思っています。

その他、今回M&Aしたみよの台薬局グループは、介護施設や在宅医療における調剤ノウハウを数多く蓄積しているため、総合メディカルとしてもこれらのノウハウを吸収し、既存店舗でも更なる売り上げの増大を狙っています。その意味においても非常に効果的なM&Aになったものと考えています。今後の総合メディカルの躍進を期待しております。

今回のM&Aの教訓としては、売上総利益率(粗利率)の低い業界は規模の利益を追求する必要があるので、寡占化が進みます。是非ご自身のいる事業の粗利率を分析してみてください。

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