プロコメ

2017.2.8

元気寿司、シンガポールのフランチャイジーを子会社化

2017.2.8

元気寿司に見る、海外事業展開とM&A

照井 久雄
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Genki Sushi Pte Ltd.の株式を取得

平成28年11月21日元気寿司株式会社は、シンガポールにてフランチャイズ方式によって展開いた、Genki Sushi Pte Ltd.の株式を取得して子会社化すると発表した。

元気寿司の海外事業は、アメリカにおいては、直営方式にて、その他の地域については、フランチャイズ方式により展開している。フランチャイズ方式にて展開しているシンガポールの現地法人を現地パートナーであった、Culinary Masters Singapore Pte.Ltd.から100%取得して完全子会社にしたのである。その理由として、IRの中で以下のように発表している。

シンガポールを元気寿司のフランチャイズビジネスの発信拠点と考えており、その拠点をブラッシュアップしていきブランド価値を高めていくことが今後のフランチャイズ展開及び目標の達成に不可欠である。

裏を返せば、同国の展開において、フランチャイズ方式のままでは、元気寿司が考えるブラッシュアップが出来ないので、直営店として、ブランド価値を高めるということである。ここで、飲食企業や小売業などが海外で展開する際によく行われる手法についてみていきたいと思う。

海外展開の方法

直営店方式

これは、文字通り、自社が直営店を展開するために、現地法人などを自社が100%で出資して、直営店を出店していく手法である。これによるメリットは、直営店であるため、改善や出店スピードなどを自社でコントロールできることである。一方デメリットは、商慣習などが全く違う海外において、展開することになるのでノウハウや経営資源の欠如などがあげられる。また、発展途上国などに出店する際にはその国のカントリーリスクや為替のリスクなども考えなければならない。

ジョイントベンチャー方式

これは、自社と現地法人において、出資比率を決めて、現地法人をつくり、その現地法人において店舗を展開する手法である。これによるメリットは、直営店と近い状況であるため、改善や出店スピードなどをコントロールしやすいという点がある。また、100%子会社とは違い、現地の有力法人と組むことにより、商慣習などの違いなどに対応しやすいというメリットもある。一方、デメリットとしては、パートナー企業との関係の悪化や経営に対する考え方の違いなどにより、現地法人が自社の意図するようにコントロール出来なくなるリスクがある。最悪の場合は、提携の解消となりその処理に莫大の経営資源を使う可能性もある。

フランチャイズ方式

これは、今回の元気寿司の手法であるが、現地の法人と、その国またはそのエリアにおけるフランチャイズ契約を締結する手法である。フランチャイズ本部(この場合は、日本の元気寿司)からフランチャイジーに対して、店舗の商標や店舗運営のノウハウなどを提供し、フランチャイジーは、その商標やノウハウを利用して、自らの経営資源によってその国やエリアにおける店舗展開を行う手法である。メリットとすると、海外における商慣習の違いのリスクやカントリーリスクなどを抑えることができること、また、資金や人材など経営資源を現地のパートナーに委ねることができるため、失敗した際のリスクなどを限定的にできるということがあります。

一方、デメリットとすると、今回の元気寿司のように、本来ブラッシュアップや店舗展開などをスピードアップしたいと考えた際に、フランチャイジーがフランチャイズ本部が思うように動いてもらえず、結果、フランチャイズ本部行いたい海外展開が行えないというリスクがあります。また、仮に店舗展開が増えていき、結果としてその国における展開が成功した際も、利益の享受がロイヤルティー収入など限定的であるということがあります。

いずれの方式を選択するかということは、経営の考え方や事業計画にもよってきますが、一度決定して進めてしまうと、方法を変更することは、難しいので慎重に選択する必要があります。

今回の買収金額

最後に、今回の買収金額について、検証していきたいと思う。
Genki Sushi Pte Ltd.の経営情報(平成27年12月期の実績)
(1シンガポールドルを80.7円と計算)

純資産 26,807,410円
売上高 666,816,191円
当期利益 -13,011,906円

である。それに対して、買収金額は、アドバイザリー報酬も含み、302百万円である。純資産2,700万円で赤字の企業を約3億円で買収となりますので、これだけを考えると割高であると考えられますが、本IRにありますように、今後のアジア展開を考えた際に、同国を直営にしたほうが、メリットがあると判断したと考えられます。

元気寿司の今後のアジア展開が非常に楽しみである。

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