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2017.2.15

クックパッド創業者によるオウチーノ買収について

2017.2.15

「クックパッド前代表取締役によるオウチーノ買収」

飯島康央
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1 はじめに

平成28年10月28日、不動産情報サイトを運営するオウチーノは、クックパッド前代表取締役の穐田誉輝氏が同社株にTOB(株式公開買い付け)を実施し買収すること及び第三者割当増資を実施することを発表しました。
これらの実施により、穐田氏らは66%のオウチーノ株式を保有することとなり、他方、現社長井端純一氏は、株式を売却して退任するとのことです。

2 オウチーノにおける今回の買収の意義

今回の買収は、穐田氏のTOBに対して、オウチーノがこれに賛同したことからも明らかなとおり、オウチーノ側にとって大きな意義のある買収だと考えられます。特に、単なるTOBではなく、第三者割当増資とセットになっている点が重要です。

公表されている情報によれば、オウチーノは2014年12月期及び2015年12月期の2期連続で当期純損失を計上しており、業績の改善や収益力の強化が喫緊の経営課題とされていました。特に、不動産購入・販売事業の業績が振るわず、2017年3月を目途に同事業から撤退することも発表されています。また、社内での人材育成がうまくいかなかったようであり、後継者問題もあったようです。

そのような中、カカクコムやクックパッドの代表取締役を歴任した穐田氏が、オウチーノの業務に関心を持ち、同社に対するTOBを実施し、かつ、穐田氏がクックパッド社長時代に穐田氏を支えた幹部4名に対する第三者割当増資を行うこととなりました。

第三者割当増資とは、会社が新たな資金調達を行う方法の一つであり、株主以外の第三者に対して新株を発行し増資するものです。

この第三者割当増資を行うことにより、オウチーノは、業績を改善し更なる成長をするための資金を調達することができます。また、穐田氏を支えた幹部4名に対する割当てを行って顧問として向かえることで、穐田氏の有するネットワークにより人的資源を得ることができたと言えます。

すなわち、オウチーノは、今回の買収により、業績改善・成長発展のための資金調達と人材の確保をすることができ、上記二つの大きな問題を解決できる下地ができたといえるのではないでしょうか。

但し、現時点においては、穐田氏は投資家としての出資であり、オウチーノにおいて新たな代表取締役を含めた経営体制については何ら決まっていないとのことです。

3 穐田氏らが66%の株式を保有する意義

他方、穐田氏においては、今回のTOB及び他4名に対する第三者割当増資により、オウチーノ株式の66%を保有することになります。穐田氏にとっては、持株比率が66%であるということが非常に重要です。この66%の株式を保有するということは、オウチーノの経営支配の面で非常に大きな意義を有することになります。

会社法においては、通常の業務執行は取締役や取締役会の決定に委ねられていますが、会社の基本的事項については株主総会の普通決議(出席株主の議決権の過半数の賛成で可決する決議事項)、会社の重要事項については株主総会の特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決する決議事項)で決定することとされています。したがって、穐田氏が66%の株式を保有すれば、オウチーノの基本的事項については株主総会の普通決議で確実に可決させることができるのみならず、オウチーノの重要事項についても特別決議で可決させることが極めて高くなるのです。穐田氏は、オウチーノの会社経営に関して、自由な発想で、安定的に経営手腕を発揮することができるようになるのです。

4 今後の動向

今回の買収は、買収される側(オウチーノ)と買収する側(穐田氏)の双方にとって、意義のあるものであると言えます。今後、オウチーノの業績が改善し、かつ、更なる成長・発展をするようになれば、今回の買収は成功例の一つとして見本になるのではないかと思われます。

以上

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