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2017.2.15

クックパッド創業者によるオウチーノ買収について

2017.2.15

クックパッド前経営者によるオウチーノ買収―その法律と税務を解説

小林幸与
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弁護士・税理士 小林幸与

1.オウチーノ買収の経緯・手法について

料理情報サイトを運営するクックパッド㈱は、佐野陽光氏が創業した会社ですが、同社に出資し上場会社になるまで大きくしたのは、クックパッド㈱の代表取締役であった穐田誉輝氏でした。ところが創業者の佐野氏と社長の穐田氏との間で経営方針の対立が生じ、2016年3月、定時株主総会後の取締役会で、穐田氏はクックパッド㈱の代表取締役を解任されました。

その後穐田氏は、保有していたクックパッド㈱の株式の大半を売却し、同年10月28日、東証マザーズに上場する㈱オウチーノの株式公開買付を発表しました。㈱オウチーノ経営陣は、直ちに穐田氏が実施する株式公開買付(TOB)に賛同することを表明し、穐田氏及びクックパッド㈱の執行役員だった4名に第三者割当増資の方法で新株を取得させること、かつ公開買付者を引受先とした自己株式の処分を実施すると発表しました。

㈱オウチーノ創業者の井端純一氏は、自らが保有する同社株式22%分を穐田氏に売却し、2017年3月29日に任期満了で代表取締役を退任する予定です。なお株式公開買付の買付代金は約5億2000万円、新株発行と自己株式処分による調達資金は約9億円であり、穐田氏側は、これによって㈱オウチーノの約66%の株式を保有することになります。

このような㈱オウチーノ買収について、穐田氏自身は、投資目的による出資と言っていますが、額面のとおり受け取られていません。2017年3月開催予定の㈱オウチーノ定時株主総会で経営陣が一新され、経営手腕ある穐田氏とクックパッド㈱の執行役員だった4名が、㈱オウチーノの経営を担っていくとの期待から、同社の株式が買われ、高騰しました。

2.株式公開買付の法律と税務について

穐田氏が実施した株式公開買付(TOB, takeover bid)とは、特定の株式会社の株式買付について、買付価格・買付期間・買取株式数を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式を買い集める制度です。対象会社の経営権を取得する目的で実施されることが多いようです。

買収される会社の経営陣の賛同を得て実施する株式公開買付は、友好的TOBと言われ、買付価格の競り上げる圧力が不十分なことから、買付価格の妥当性について売り手株主側に不満が生じることがあります。穐田氏によるオウチーノ株式の買付は、友好的TOBの一つでしょう。

買収される会社の経営陣の賛同を得られないのに実施される株式公開買付は、敵対的TOBと言われ、経営陣が買収対抗策を講じます。

金融商品取引法は、上場株式を発行会社以外の者が市場外(市場内の立会外取引を含む)で買付などするときには、買い手側の買付後の株式保有割合が3分の1超になる場合(または60日間で10名超から買付後の株式保有割合が5%を超える場合)などには、原則として公開買付の方法によらなければならないとされています。

株式公開買付に応じなかった少数株主については、スクーイーズ・アウト(少数株主排除)の手続を実施することもできますが、今回のオウチーノ買収では、その手法は取られていません。

株式公開買付に応じた個人株主は、通常の株式市場での売買と同様に、譲渡益に課税され、申告分離課税の対象となります。また法人株主が、株式公開買付に応じた場合も、その譲渡益に課税されます。

また上場会社が自社株式を公開買付した場合、みなし配当課税などの問題が生じますが、オウチーノ買収は、そのケースではありません。

3、第三者割当増資の法律と税務について

オウチーノ側が実施した第三者割当増資とは、特定の第三者に新株引受権を与える方法による増資手続であり、上場会社の場合、資本提携・事業支援・会社再建などのために実施されることが多いようです。また敵対的買収の対象となった会社が防衛策の一環として行うケースもあります。

第三者割当増資は、発行価額が適正価額(時価)なら取締役会決議で発行できますが、特に有利な価額で新株発行するときは株主総会の特別決議が必要であり、また著しく不公正は方法による新株発行は、発行の差し止め請求の対象になります。なお第三者割当増資を行う会社は、有価証券届出書に第三者割当の合理性必要性に関する会社の判断を説明することが義務付けられています。

ところで第三者割当増資は、適正な価額(時価)で発行するならば、発行会社側も新株取得者側も、課税されることはありません。

しかし第三者(個人・法人)が、有利な発行価額で新株を取得すると、その発行価額と適正価額(時価)との差額について、贈与または経済的利益の供与があったものとみなされ、課税対象になります。

すなわち株式の有利発行をするなら既存株主に平等に新株の引受けをさせさせるべきであり、一部の株主または第三者に対する新株の発行は、時価による新株発行でないと、株式引受側に課税リスクが生じることに注意してください。

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