プロコメ

2017.3.1

売却株式の総額は100億円規模、ノバレーゼ創業者によるエグジット

2017.3.1

ノバレーゼ買収を機に学ぶM&A税制

平川智章
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昨年9月1日、ポラリス・キャピタル・グループ(投資ファンド)が東商1部上場の株式会社ノバレーゼに、TOB(株式公開買付)を行うと発表しました。当時800円程度だった株価に対して1944円というTOB価格であったため、業界でも非常に話題となりました。今回のディールは全体で約200億円、浅田会長関連の保有する株式で約100億となるそうです。これだけの金額となると税金だけでもすごい金額になりますね。そこで今回は経営者が事業承継などでM&Aを行う時の税制について解説したいと思います。

M&Aで経営者が受け取る収入

まず、M&Aにあたって経営者が受け取る収入をあげてみましょう。主なものは以下になるかと思います。
・株式譲渡対価
(・事業譲渡の場合は事業譲渡対価)
・退職金
・社長貸付の返済

それぞれの税制

それぞれに関して、税制を説明いたします。
まずは株式譲渡対価。こちらは株主が個人の場合と法人の場合で分けて解説いたします。

株式譲渡対価

株主が個人の場合は、結論から申しますと、約20%の税金がかかります。計算方法は
「(株式譲渡対価-株式取得費用等<資本金や仲介会社の手数料等>)×20%」となります。20%の内訳は所得税が15%、住民税が5%で、震災復興に関わる税が別途加算されます。

次に株主が法人の場合、結論から申しますと、約40%の税金がかかります。計算方法は
「(株式譲渡対価-株式取得費用等<資本金や仲介会社の手数料等>)×40%」となります。40%の税金は法人税です。他の課税所得と合算して課税されます。

株主が個人の場合と法人の場合ではそもそもかかる税が違うのがポイントです。個人の場合は個人所得に対する所得税、住民税、法人の場合は法人税がかかるため、これだけ大きな違いが出ています。

退職金

次に退職金です。退職金には控除枠があるため、一般的には退職金で受け取った方が有利と言われています。具体的な税額の計算式は
「(退職金-退職所得控除額)×0.5×所得税率-控除額」となります。わかりづらいと思いますので、具体的なシミュレーションで説明します。

例えば、25年勤務された方が2500万円の退職金を受け取ろうとした場合。結論から申しますと、92万2500円(住民税、復興特別所得税は含まず)の税金がかかります。
計算方法を申しますと、まず課税退職所得金額を求めます。課税退職所得金額は、「2500万円(退職金)-1150万円(退職所得控除額)×0.5」、つまり675万円です。そして、この675万円に所得税率をかけて所得税控除額を差し引きます。675万円ですと、所得税率は20%、控除額は42万7500円になります。計算すると、92万2500円となり税額が求められます。尚、退職所得控除額と、所得税の税額は以下になっています。

~退職所得控除額~
・勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
・勤続年数20年超 :800万円+70万円×(勤続年数-20年)

~所得税の税額表~
・課税退職所得金額1,000円から1,949,000円まで:税率5%、控除額0円
・課税退職所得金額1,950,000円から3,299,000円まで:税率10%、控除額97,500円
・課税退職所得金額3,300,000円から6,949,000円まで:税率20%、控除額427,500円
・課税退職所得金額6,950,000円から8,999,000円まで:税率23%、控除額636,000円
・課税退職所得金額9,000,000円から17,999,000円まで:税率33%、控除額1,536,000円
・課税退職所得金額18,000,000円から 39,999,000円まで:税率40%、控除額2,796,000円
・課税退職所得金額40,000,000円以上:税率45%、控除額4,796,000円

社長貸付

そして最後に、社長貸付。経営者であれば運転資金として会社にお金を貸し付けることもあると思います。退職時に貸付を会社から返済してもらうケースが多くありますが、こちらは単に貸し付けたお金を戻すだけなので税金はかかりません。

まとめ

このようにどのように受け取られるかで支払う税額が大きく変わってきます。上記で大局をつかみながら具体的には顧問税理士の方に確認していただき、具体的なスキームを検討いただくのが良いかと思います。

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