プロコメ

2017.3.22

クックパッドの創業者が「みんなのウェディング」をバイアウト

2017.3.22

クックパッド前社長によるみんなのウェディングMBO

北川朝恵
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1 クックパッド前社長の穐田誉輝氏、みんなのウェディングをMBO

結婚式場選びの口コミサイトなどを運営する株式会社みんなのウェディング(東証マザーズ上場)は、平成28年12月22日、同社の取締役会長であり、かつ、同社の親会社であるクックパッド株式会社の前社長である穐田誉輝氏が公開買付けによるMBO(Management Buyout)を実施すると発表しました。買付け価格は、1株1000円で、同日の終値を24%も上回るものだったため、一時ストップ高となる急騰につながりました。

2 MBOとは

MBOとは、経営者による企業買収のことであり、平成19年に経済産業省から発表された「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」によれば、「現在の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として対象会社の株式を購入すること」とされています。

MBOを行う目的としては、一般的に①上場維持コストの削減、②親会社からの独立、③中小企業における株式散逸の防止などが挙げられますが、本件のMBOで買収された側のみんなのウェディングは上場を維持するとのことですので、主な目的は②親会社(クックパッド)から独立し、中長期的な独自の経営戦略を展開することを目指したものと考えられます。

穐田氏は、株式公開買付け(TOB:Take Over Bid)の方法によりみんなのウェディング社株式を買付け、その支配権を取得しました。TOBとは、ある企業の株式を大量に取得したい場合に、一定の価格で一定の期間に一定の株数を買い取ることを表明し、株式を取得する方法のことです。今回穐田氏は、買付け期間を平成28年12月26日から平成29年2月28日とし、買付予定数の下限を2,047,000株、上限を4,195,700株と設定、そして、応募株券等の総数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わない旨、及び応募株券等の総数が買付予定数の上限を超える場合は、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わず、法律に規定するあん分比例の方式により決済等を行う旨の条件が付されていました。

3 今回のMBOのねらい

今回のMBOの目的については、同じ口コミ情報サイトを運営するクックパッドで経営手腕を発揮した穐田氏が、みんなのウェディング社への経営の関与を強め、同社の成長をねらったものと考えられます。

そもそも本件MBO以前の平成27年に、クックパッド社は、みんなのウェディング株式の公開買付けを実施し子会社化するとともに、クックパッド出身者をみんなのウェディング社の取締役として派遣するなどして連携を強めてきました。しかし、その後クックパッドは、本業である料理関連事業に力を注ぐ方針に転換し、みんなのウェディングの経営からは離れることとしたため、今回のTOBに応募し、自社が有するみんなのウェディング社株式を穐田氏に譲渡することとなりました。一方、穐田氏としては、みんなのウェディング株式を自身が取得することによって株主構成を安定させ、経営を安定させることにより、同社の経営への関与を深め、同社の企業価値を向上させることをねらったといえます。

なお、穐田氏は、以前はクックパッドの社長も務めていましたが、同社の創業者である佐野陽光氏と多角化をめぐる路線で対立し、平成28年に社長を辞任し、同年8月には自身が保有していたクックパッド株式を大量に売却しています。また、穐田氏は、平成28年10月に、東証マザーズ上場の不動産情報サイト、オウチーノも公開買付けで買収しており、穐田氏のネット企業における拡大路線がこのところ推し進められているといえます。

4 今回のTOBの結果

本件TOBでは、応募株券等の総数は買付予定数の下限に達し、かつ上限を超えませんでしたので、当初の予定通り、公開買付者である穐田氏は、応募株券等の全部の買付けを行うことができました。その結果、穐田氏は議決権の58.10%を取得することとなり、みんなのウェディング社の筆頭株主になりました。一方、それまでみんなのウェディング社の親会社であったクックパッド社は、同社が有するみんなのウェディング社株式(所有割合26%)のすべてをMBOに応じて売却したため、みんなのウェディング社の主要株主には該当しないこととなり、両社の資本提携も解消されています。

今後は、クックパッドから独立した穐田氏による独自の経営路線が展開されていくこととなり、その行方に注目が集まるところです。

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