プロコメ

2017.3.29

米マクドナルドが中国事業を売却するのは何故か?

2017.3.31

日本のマクドナルドも売られるのか?

照井 久雄
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米ファーストフード大手のマクドナルドは、2017年1月9日に同中国事業を中国中信集団(CITIC)並びに米投資ファンドであるカーライル・グループに、約2280億円の事業価値で売却されました。売却後の株主構成は、CITICが52%、カーライルが28%を出資する形となる。中国と香港で現在2600店舗の体制をこの5年間で1500店舗の出店を計画するとしています。

また、平成29年3月28日の日本経済新聞によると、米マクドナルドは、台湾の事業についても、台湾のホテル大手国賓大飯店の李昌霖・総経理(社長)の個人の会社に売却を打診しているという。

このように、米マクドナルドは、世界戦略の見直しをしており、日本のマクドナルドも当然に、見直しを検討しているといわれております。平成29年1月12日には、米マクドナルドが保有する50数パーセントのうち、33%程度を売却するという情報をブルームバーグなどが伝えておりました。その後、具体的には、発表にはなっておりませんが、水面下での交渉は続いているのではないかと筆者は、考えています。

ここ最近、マクドナルドホールディングス(以下「日本マクドナルド」と表示)に起こったことを振り返っていきたいと思います。
まず、平成26年7月にマスコミをにぎわした「チキンナゲットの賞味期限問題」を思い出されます。その後、日本のマクドナルドも顧客離れが続き、業績的にも非常に苦しみました。
業績をみていくと、賞味期限問題が起こった平成26年12月期が、売上高222,319百万円経常利益が7,974百万円の赤字、平成27年12月期が、売上高189,473百万円、経常利益が25,898百万円の赤字。
しかしながら、そこから、ブランドイメージ回復をしながら、直近の業績(平成28年12月期)では、売上高226,646百万円経常利益6,614百万円の黒字までV字回復することに成功しました。

この復活劇を支えたものは何だったのでしょうか。

平成28年12月期の決算発表会において、代表のカサノバ社長は、お客様視点にたった改革について、説明しております。それは、①お客様が期待される美味しい食事②毎日どのような機会でも楽しみいただけるお求めやすさ③快適な店舗での最高のクオリティ、サービス、クレンリネス、 それらを通じてマクドナルドならではの楽しさとパッション、そしてわくわく感を提供するための取り組みをしてきたといっております。

そしてそれらを実現するために、お客様からの意見を積極的に取り入れ、計画をたててそれを実行してきた結果、このような回復に至ったとその発表会にて発表しております。またその中で、顧客からの声の推移として、QSCの向上が示されておりました。それを実現するために、ソフト面のみならず、ハード面においても555店舗の改装を行ったとのことです。またプロモーション面においても、お客様参加型のプロモーションなど様々な取り組みをおこなっております。

この発表をみていると、一つ一つは、地道な活動であったのだと思います。その地道な活動をしっかりと計画をたてて、現場に落とし込みをしてきてから、復活することが出来たのだと思います。これは、よく経営でいわれる「凡事徹底」ということなのだと思います。戦略が優れていることはもちろんのこと、これが、顧客視点にたち、「凡事徹底」をして現場に落とし込んでいくことにより、顧客から支持を回復しその結果業績が回復したということなのだと思います。そして、さらにそれを強化すべく、今年度は、さらに「Menu/Value」「店舗体験」「ブランド」この3つの柱を継続してさらに強化していくと宣言しております。

その結果として平成29年12月度は、2365億円の売上、85億円の経常利益を計画しております。この数値がどのようになっているのか今後見守っていきたいと思います。

さて、最後に、日本マクドナルドの株式の問題に話しを戻したいと思います。現在(3月30日終値時点)、マクドナルドホールディングスの時価総額は4340億円ほどとなります。これは、「チキンナゲットの賞味期限問題」が起こる前の株価をすでに超えております。株価だけで見てみると、業績をV字回復した、今が米マクドナルドからすると「売り時」なのかもしれません。今後、日本マクドナルドの株主構成がどのように変化していくのか、注目していきたいと思います。

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