プロコメ

2017.4.5

RIZAPグループが、フリーペーパー発行の「ぱど」を買収

2017.4.5

RIZAPグループによる株式会社ぱどの子会社化について

飯島康央
飯島康央 弁護士 プロフィールを見る

1 はじめに

フィットネスジム「ライザップ」等を運営するRIZAPグループ株式会社(以下「RIZAPグループ」と言います。)とフリーペーパー発行部数で国内トップの株式会社ぱど(以下「ぱど」と言います。)は、平成29年2月13日、資本業務提携契約を締結し、ぱどはRIZAPグループに対し第三者割当増資を実施して、RIZAPグループの子会社になることが発表されました。

そこで、今回は、子会社化されることを選択したぱどの視点から、その意義を検討していきたいと思います。

2 ぱどの現状

(1)ぱどは、昭和62年8月に設立され、地域密着型無料宅配情報誌「ぱど」の編集・発行事業を行って業績を拡大、平成13年には大阪証券取引所及びナスダックジャパン市場(現東京証券取引所「JASDAQ(グロース)」市場)に上場並びに株式公開をした企業です。その後も業績を拡大し、現在は、約1000万部を発行するようになり、フリーペーパー発行部数で国内トップの企業です。

(2)ところが、公表されている情報によれば、平成26年3月期に83億3500万円の売上げを計上した以降、徐々に売り上げが減少し、平成27年3月期及び平成28年3月期には2期連続で営業損失を計上するようになっていました。平成29年3月期の業績見通しも売り上げ等が好転せず、営業損失、経常損失の計上見込みであり、自己資本比率も0.3%まで低下する見込みとなるに至り、業績の悪化が続いていたようです。

したがって、ぱどにとっては、抜本的な経営改革や財務体質の強化が喫緊の課題となっていました。

3 資金調達の具体的方法

このようなぱどにとって、経営改革、財務体質の強化を図るためには大規模な資金調達が必要不可欠です。一般的に資金調達の方法としては、大きく分けて、①金融機関から融資を受ける間接金融による方法と、②増資による直接金融による方法とが考えられます。

このような場合、まずは、金融機関からの融資を考えるところだと思いますがが、業績の悪化した企業に対する融資には限界があり、実際に、ぱどの上記業績からは金融機関からの融資は厳しい状況にあったようです。

とすれば、ぱどとしては、直接金融により資金調達をするしかありません。直接金融の方法としては、①公募による増資、②株主割当増資、③第三者割当増資などが考えられます。

①②の方法であれば、既存株主の意思に反してその利益を毀損することなく資金調達が可能となるというメリットがありますが、他方において、期待する程度の応募があるのか、必要な資金を調達することができるのかが不確実であるというデメリットがあります。特に、業績の悪化している企業に対する投資には大きな抵抗感があるものであり、充分な資金調達ができない可能性があります。

他方、③の方法は、事前の協議により第三者との合意によって増資を行う方法であることから、合意ができれば必要となる資金を十分に調達することが可能となります。しかし、株式引受人にとって株式払込金額が特に有利な金額である場合には、公開会社である場合であっても既存株主の経済的利益を毀損するものであるため、株主総会での特別決議が必要とされています(会社法199条2項3項 201条1項 309条2項5号)。

今回ぱどにおいては、必要な資金調達を確実に実施するため第三者割当による増資を選択しました。また、RIZAPグループに対する発行価額は、市場価格が一株290円前後であったところ、一株74円での発行となったため、株主総会の特別決議が必要となりました。

なお、平成29年3月30日のぱどの臨時株主総会において、RIZAPグループに対する第三者割当増資は無事に可決されたようです。既存株主としても、RIZAPグループの子会社になることを選択したということです。

4 まとめ

RIZAPグループとぱどとの間の資本業務委託契約及び第三者割当増資により、ぱどは約10億円の資金調達が可能となりました。さらに、今後、RIZAPグループから業務委託を受けることで、年間5億円以上の受注が予定されているとのことです。

これらの資金調達により、ぱどは経営改革を進め、更なる成長ができるようであれば、今回の子会社化は成功であったと言えるでしょう。今後のぱどの業績に注目です。

以上

その他専門家コラム

最新のプロコメテーマ