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2017.4.5

RIZAPグループが、フリーペーパー発行の「ぱど」を買収

2017.4.5

Rizapグループとぱどとの資本提携にみる再建型ファイナンスについて

花澤健司
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Rizapグループ株式会社と株式会社ぱど

Rizapグループ株式会社(以下、「Rizap」という。)と株式会社ぱど(以下、「ぱど」という。)は平成29年2月13日に資本業務提携契約の締結を発表した。その概要は平成29年3月末にRizapがぱどの第3者割当増資を引き受け、同社の子会社化するものである。合わせて業務提携として年間約5億円程度の広告出稿をぱどにRizapが依頼することも発表されている。

ここまではよくみかける資本業務提携であるが、今回の取引は第3者割当の株価に注目したい。今回の資本業務提携で、Rizapは一株当たり74円という株価で増資の引き受けを実施している。上場企業の場合は株式市場にて一株の取引時価があるため、一般的に第3者割当増資を行う場合はその株価を参考にすることが多い。では、ぱどの株価の推移はどの程度かというと2016年4月から見てみると同社の株価は182円から507円の間で推移しており、ぱどが意思決定を行った平成29年2月近辺でも280円台である。増資の株価74円は市場推移から見て約75%程度のディスカウントが入っている大幅な割安水準となっている。

この74円という株価はぱどのIR資料によると同社の2016年10月末時点の純資産額を基準としている旨が記載されている。一般的には株式市場の取引価格を参照し決定することが多いが、今回は純資産となったことについても、IR資料に記載があり、ぱどの財務状況が相当程度悪化し、会社に継続企業の前提に重要な疑義が生じていることに起因する。以下はぱどの最近の財務状況の動きであるが、直近2期間は経常赤字であり、かつ当期(平成29年3月期)についても第3四半期までは経常赤字が継続しており、同社の純資産は107百万円まで目減りしている。

価格の決定プロセス

また、同社のIR資料からは第4四半期についても赤字が継続し、最終的には連結純資産は54百万円まで毀損することが公表されている。そのような状況下にあってはRizapとしては増資する株価が市場価格水準では許容できず、彼らがファイナンスを検討していた当時の純資産を基準とする以外になかったということがIR資料にも記載されている。

筆者はこの価格の決定のプロセスについては、ぱどのおかれている状況を鑑み、ある程度は妥当であろうと考えている。一方で割安に取得したRizap側にリスクがないかというとそうでもない。Rizapが資金を提供するのは平成29年3月末であるため、3月末にRizapの連結子会社になる(=支配獲得日)と考えられる。連結会計基準では支配獲得日に子会社の資産及び負債の全てを支配獲得日の時価により評価することになる。仮にぱどの資産および負債が時価と簿価が同額であると仮定した場合、ぱどの純資産は上記のように54百万円となる。一方でRizapはぱどに対して10億円を拠出し、ぱどの株式の約70%を取得することになる。つまり、ぱどの純資産54百万円の約70%である約38百万円を10億円で取得することになり、差額の962百万円は会計上のれんとしてRizapの連結財務諸表に計上されることになる(税効果会計は考慮していないため、実際計上額とは異なる)。今回のような再建型のファイナンスを実施する場合には、相手方の財務状況が悪く、出資した金額と取得した資産の差額は多額になるつまりのれんが多額に発生するとことがよくあることである。のれんは会計上、資産に計上され、20年以内のその効果の及ぶ範囲にわたって配分(費用計上)されることになる。Rizapののれんの償却期間は10年であるが、ここではその償却期間が問題となるのではなく同社の財務がさらに悪化した場合にのれんの減損が発生する可能性があることである。再建型のファイナンスの場合、もともと経営状況は芳しくないため、ファイナンスをして、一時的には財務状況は改善したとしても、経営状況が継続して悪い場合は、のれんの減損がいつでも発生しかねない状況となり、Rizap社の業績に多大な影響を与える場合がある。

最も今回の資本業務提携はRizapとぱどの業務のシナジー効果も高いことが見込まれてこと業務委託契約としてRizapから5億円程度の広告出稿が予定されている等Rizap、ぱどともにwin-winな関係にあることが予想されるため、想定されるシナジー効果が実績として反映されれば、のれんの減損リスクは減っていくと考えられる。

このように、財務体質が悪化している企業を買収する場合は、計上されるのれんの金額は多額になり、かつ、買収先の業績次第では買収元の親会社への財務に与える影響もあるために再建型のファイナンスを行う場合には買収先の買収後の事業計画をしっかりと評価していく必要があると考える。

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