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2017.4.26

セプテーニHD、CAMPFIREと資本・業務提携契約締結

2017.4.26

セプテーニ・ホールディングスの先行投資の行方

阪野公夫
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本年1月、株式会社セプテーニ・ホールディングス(セプテーニHD)が、クラウドファンディング・プラットフォームを運営する株式会社CAMPFIREと資本・業務提携契約を締結し、CAMPFIREが第三者割当増資を行い、その一部をセプテーニHDが取得することを発表しました。その中で、業務提携においては、セプテーニHDの子会社(マンガコンテンツ事業)がCAMPFIREとマンガ事業の提携をすることも発表されました。

そうしたところ、本年2月、セプテーニHDは、第1四半期決算発表にて、ネットマーケティング事業とメディアコンテンツ事業のうち、メディアコンテンツ事業はマンガコンテンツ事業を中心に収益が拡大し、先行投資を積み増したことを発表しました。

今回、セプテーニHDが用いたM&Aの手法としての「第三者割当増資」は、新株発行について特定の第三者に対してのみ割当を行うものであり、以下の特徴があると説明されます。
①友好的な取引が前提となること
②対象会社に既存株主が存在し、第三者割当によって対象会社の100%の議決権を取得することはできないこと
③対象会社においては、資金調達が図ることができること

以上の特徴から、第三者割当増資は、「食うか食われるか」というようなM&Aの手法ではなく、友好的な業務提携になじむ手法といえますので、今回のセプテーニHDの第三者割当増資は、業務提携契約を並行しており、典型的な第三者割当増資と考えられます。
今回の第三者割当増資+業務提携契約のメリットを整理すると、以下の通りと考えられます。

メリット

①セプテーニHDにおいては、シナジー効果のある分野(マンガコンテンツ)について業務提携による収益拡大を見込むことができ、先行投資は第三者割当額に限定されるので、リスクの限定ができること。
②CAMPFIREにおいては、資金調達を図ることができ、(割当株式数にもよりますが、通常は少数株式の割当にとどまるため)セプテーニHDは少数株主なので、経営に対する裁量権も確保できること。

このように見ますと、双方にとってまさにウィンウィンの関係にあると言えます。
ただ、以下のようなリスクが想定されます。

①業務提携ですので、双方が一定の企業秘密やノウハウを出し合うことになりますが、かといって両者の関係は、少数株主とはいえセプテーニHDは株主ですので一定の力関係が生じるため、予定している業務提携によるシナジー効果が発揮されるのかが読みにくいことです。
この点は、第三者割当増資+業務提携契約に限ったことではなく、一般論として業務提携契約によってシナジー効果がどの程度発揮できるか、という論点でもありますが、対等な関係での業務提携であれば、契約に従った業務提携、ということで考えれば足りますが、やはり「株主」という力関係が生じると、単純に割り切れない問題が生じることも事実です。

②業務提携を解消する場合、セプテーニHDが有する株式についてのCAMPFIREの買い取り条件の交渉でこじれるリスクもあります。
また、業務提携の解消には、双方が業務提携中に知った(知り得た)相手方の企業秘密を保持するという秘密保持も問題になります。

そのほかにも、マンガコンテンツといった著作物・著作権に関する特有のトラブルも想定されます。
リスクは考え出せばキリがないともいえます。

ここで重要な問題は、今回のような第三者割当増資+業務提携契約の場合、メリットが非常に大きいことに目が行きがちであり、とりわけWEB関連の企業においてはスピードも重要になるため、以上のようなリスク(提携する分野に特有のトラブルやリスクを含めて)の検討と、洗い出されたリスクを契約において排除する(あるいは明確にする)ということが十分にできない場合があるということです。
今回のセプテーニHDの第三者割当増資+業務提携契約においても、今後、何らかのリスクが現実化した場合においてはその対処方法が注目されます。
以上

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