» セプテーニ・ホールディングスの先行投資の行方

テーマセプテーニHD、CAMPFIREと資本・業務提携契約締結

2017年1月10日、株式会社セプテーニ・ホールディングス(本社:東京都新宿区、代表取締役:佐藤 光紀、証券コード:4293)は、株式会社CAMPFIRE(本社:東京都渋谷区、代表取締役:家入 一真)と資本・業務提携契約を締結しました。

この資本業務提携で、CAMPFIREが第三者割当増資による新株式を発行し、その一部を株式会社セプテーニ・ホールディングスが取得します。

「セプテーニ・ホールディングスの先行投資の行方」

2017年4月26日
阪野公夫

弁護士
阪野公夫法律事務所 代表(愛知県弁護士会所属) 1974年生まれ。早大卒。2003年に弁護士登録。主に愛知県や名古屋市における、中小・中堅企業の倒産や事業再生・M&Aの案件に携わる。最近では、コア部門の事業譲渡と清算を行う第二会社方式による再生案件に数多く関与。企業破産や破産管財人での実績も多数。2013年3月には「金融円滑化法終了を踏まえた事業再生の最新実務とM&Aの活用方法」の講演を共催。

本年1月、株式会社セプテーニ・ホールディングス(セプテーニHD)が、クラウドファンディング・プラットフォームを運営する株式会社CAMPFIREと資本・業務提携契約を締結し、CAMPFIREが第三者割当増資を行い、その一部をセプテーニHDが取得することを発表しました。その中で、業務提携においては、セプテーニHDの子会社(マンガコンテンツ事業)がCAMPFIREとマンガ事業の提携をすることも発表されました。

そうしたところ、本年2月、セプテーニHDは、第1四半期決算発表にて、ネットマーケティング事業とメディアコンテンツ事業のうち、メディアコンテンツ事業はマンガコンテンツ事業を中心に収益が拡大し、先行投資を積み増したことを発表しました。

今回、セプテーニHDが用いたM&Aの手法としての「第三者割当増資」は、新株発行について特定の第三者に対してのみ割当を行うものであり、以下の特徴があると説明されます。
①友好的な取引が前提となること
②対象会社に既存株主が存在し、第三者割当によって対象会社の100%の議決権を取得することはできないこと
③対象会社においては、資金調達が図ることができること

以上の特徴から、第三者割当増資は、「食うか食われるか」というようなM&Aの手法ではなく、友好的な業務提携になじむ手法といえますので、今回のセプテーニHDの第三者割当増資は、業務提携契約を並行しており、典型的な第三者割当増資と考えられます。
今回の第三者割当増資+業務提携契約のメリットを整理すると、以下の通りと考えられます。

 

<メリット>
①セプテーニHDにおいては、シナジー効果のある分野(マンガコンテンツ)について業務提携による収益拡大を見込むことができ、先行投資は第三者割当額に限定されるので、リスクの限定ができること。
②CAMPFIREにおいては、資金調達を図ることができ、(割当株式数にもよりますが、通常は少数株式の割当にとどまるため)セプテーニHDは少数株主なので、経営に対する裁量権も確保できること。

このように見ますと、双方にとってまさにウィンウィンの関係にあると言えます。
ただ、以下のようなリスクが想定されます。

①業務提携ですので、双方が一定の企業秘密やノウハウを出し合うことになりますが、かといって両者の関係は、少数株主とはいえセプテーニHDは株主ですので一定の力関係が生じるため、予定している業務提携によるシナジー効果が発揮されるのかが読みにくいことです。
この点は、第三者割当増資+業務提携契約に限ったことではなく、一般論として業務提携契約によってシナジー効果がどの程度発揮できるか、という論点でもありますが、対等な関係での業務提携であれば、契約に従った業務提携、ということで考えれば足りますが、やはり「株主」という力関係が生じると、単純に割り切れない問題が生じることも事実です。

②業務提携を解消する場合、セプテーニHDが有する株式についてのCAMPFIREの買い取り条件の交渉でこじれるリスクもあります。
また、業務提携の解消には、双方が業務提携中に知った(知り得た)相手方の企業秘密を保持するという秘密保持も問題になります。

そのほかにも、マンガコンテンツといった著作物・著作権に関する特有のトラブルも想定されます。
リスクは考え出せばキリがないともいえます。

 

ここで重要な問題は、今回のような第三者割当増資+業務提携契約の場合、メリットが非常に大きいことに目が行きがちであり、とりわけWEB関連の企業においてはスピードも重要になるため、以上のようなリスク(提携する分野に特有のトラブルやリスクを含めて)の検討と、洗い出されたリスクを契約において排除する(あるいは明確にする)ということが十分にできない場合があるということです。
今回のセプテーニHDの第三者割当増資+業務提携契約においても、今後、何らかのリスクが現実化した場合においてはその対処方法が注目されます。
以上

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    公認会計士

    当時世界最大級の会計・コンサル企業であったアーサーアンダーセン、米コカ・コーラやGEなどのグローバル企業で事業計画やM&A後のインテグレーション責任者など従事後、その経験を生かし外資系日本法人のCFOや上場ベンチャー企業の役員などを経て創業。現在ハンズオン・CFO・パートナーズ㈱ 代表取締役社長として PMI業務(買収後統合業務)や外資系企業・ベンチャー企業の外部CFO業務、経営改善・税務会計コンサルティングなどを行っている。

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    弁護士法人ひかり総合法律事務所、代表弁護士の藤原宏高です。 2006年~2014年までミネベア株式会社社外監査役、2016年~現在は、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの社外監査役を務めております。 これまで顧客本位のリーガルサービスを目標として,ワンストップサービスを実現させるべく海外法律事務所ともネットワークを構築し,中小企業の海外進出支援や,中小企業の事業承継とM&A取引などに積極的に取り組んで参りました。

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    敬和綜合法律事務所所属。東京大学法学部卒業後、三菱重工業株式会社資金部における4年間の勤務を経て、2007年に弁護士登録。 以後、企業での勤務経験を活かした実践的な角度によるコーポレート分野のリーガルアドバイス、M&Aアドバイス、企業間訴訟などを幅広く手掛けるほか、IT法務や金融・ファンドの分野にも独自の強みを持つ。

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    家永 勲 弁護士法人ALG&Associates パートナー・弁護士 東京弁護士会所属 上場企業が手がけるM&Aにおける法務DDの責任者として対応するほか、会社法を活用した買収目的に適したスキームの策定等も実践し、M&Aに関わる法務問題を幅広く取り扱っている。 企業法務におけるトラブルへの対応とその予防策に関するセミナーのほかストレスチェックやマイナンバーなど最新の法改正に即したセミナーや執筆も多数行っている。