» セプテーニとCAMPFIREの資本・業務提携について

テーマセプテーニHD、CAMPFIREと資本・業務提携契約締結

2017年1月10日、株式会社セプテーニ・ホールディングス(本社:東京都新宿区、代表取締役:佐藤 光紀、証券コード:4293)は、株式会社CAMPFIRE(本社:東京都渋谷区、代表取締役:家入 一真)と資本・業務提携契約を締結しました。

この資本業務提携で、CAMPFIREが第三者割当増資による新株式を発行し、その一部を株式会社セプテーニ・ホールディングスが取得します。

「セプテーニとCAMPFIREの資本・業務提携について」

2017年4月27日
家永勲

弁護士
家永 勲 弁護士法人ALG&Associates パートナー・弁護士 東京弁護士会所属 上場企業が手がけるM&Aにおける法務DDの責任者として対応するほか、会社法を活用した買収目的に適したスキームの策定等も実践し、M&Aに関わる法務問題を幅広く取り扱っている。 企業法務におけるトラブルへの対応とその予防策に関するセミナーのほかストレスチェックやマイナンバーなど最新の法改正に即したセミナーや執筆も多数行っている。

今年の1月10日にマンガコンテンツ事業を手掛ける子会社を有する株式会社セプテーニ・ホールディングス(以下、「セプテーニ社」)とクラウドファンディングのプラットフォームを運営する株式会社CAMPFIRE(以下、「CAMPFIRE社」)間の資本及び業務提携が発表されました。

開示された情報によれば、CAMPFIRE社からの第三者割当増資の一部をセプテーニ社が引き受けることで資本提携を実現するようです。
また、マンガコンテンツ事業において、すでに5つの企画をクラウドファンディングにより実行に移しており、既に一定の関係性を持っていた状況での業務提携であると思われます。

 

1. 資本及び業務提携の目的について

資本及び業務提携と一口に言っても、その内容は様々であり、どのような提携関係になるのかは、当事者の目的に左右されます。
資本提携まで含めて行う場合に、一般的には、資金調達目的を有する会社と投資することによりリターンを期待する会社の間で行われることが多いですが、本件の場合、このような目的が主眼ではないように思われます。
投資する会社としては、一定の支配権を有し、投資先の会社をコントロールする場合もあり、支配する株式数が少なければ、期待した効果を得られないと考えられます。現時点におけるCAMPFIRE社の資本金及び資本準備金は約4億5000万円と比較的高額であるところ、今回の資本及び業務提携において、セプテーニ社が保有することになったのは、第三者割当増資の「一部」であり、既存の株式と含めて考えた場合に、その保有割合は必ずしも高いとは思われず、支配的な株主となっていないと思われます。
とすれば、今回の資本及び業務提携の主眼は、実は業務提携としての要素が大きかったのではないかと思われます。

 

2. セプテーニ社にとってのクラウドファウンディングの価値

セプテーニ社が資本及び業務提携の主たる目的は、マンガコンテンツ事業におけるクラウドファンディング事業の実施と関連しているのでしょう。
クラウドファンディングには、いくつか類型が存在し、その方法によって法規制も異なれば、出資者が得る物も異なります。セプテーニ社がCAMPFIRE社と行ったクラウドファンディングの類型は、比較的分かりやすい形態で、出資した金額に応じて、企画が実行された場合には、商品を入手できるというものであり、ある種売買の予約のような性質での資金調達となっています。
このようなクラウドファンディングの活用は、商品化する価値を顧客に判断させ、一定以上の需要がある場合には、実行に移すという意味で的確なマーケティングを実現するためには、有用な手段といえます。欲しい人の手元には必ず出資額に応じた商品が届くという意味では、出資者の満足感も確保しやすいでしょう。
このようなプラットフォームがセプテーニ社のマンガコンテンツ事業とマッチしたように思われます。漫画というコンテンツ自体がそもそもライセンスによる各種商品展開に向いているという特性があります。しかしながら、漫画自体は売れるのに関連商品は思ったほどうまく展開されない、又は展開するためには多額の広告費等が必要となるというケースも想定されます。
しかしながら、セプテーニ社が保有するマンガコンテンツ事業は、デジタルコンテンツ上において漫画を連載するというものですが、デジタルコンテンツであるがゆえに、人気の有無等についてもプレビュー数や読者の評価を見ることで把握することができるうえ、これに売買予約類似のクラウドファンディングによる関連商品の展開を実行できれば、漫画に関するライセンス事業の展開についてもリスクを低減できるというメリットがあります。
業務提携を行いクラウドファンディングが利用できれば上記のような展開は実現できるとは思われますが、セプテーニ社にとっては、CAMPFIRE社のプラットフォームが存続し続けることに価値を見いだし、資本提携にまで至ったと思われます。
以上

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    公認会計士

    当時世界最大級の会計・コンサル企業であったアーサーアンダーセン、米コカ・コーラやGEなどのグローバル企業で事業計画やM&A後のインテグレーション責任者など従事後、その経験を生かし外資系日本法人のCFOや上場ベンチャー企業の役員などを経て創業。現在ハンズオン・CFO・パートナーズ㈱ 代表取締役社長として PMI業務(買収後統合業務)や外資系企業・ベンチャー企業の外部CFO業務、経営改善・税務会計コンサルティングなどを行っている。

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    阪野公夫法律事務所 代表(愛知県弁護士会所属) 1974年生まれ。早大卒。2003年に弁護士登録。主に愛知県や名古屋市における、中小・中堅企業の倒産や事業再生・M&Aの案件に携わる。最近では、コア部門の事業譲渡と清算を行う第二会社方式による再生案件に数多く関与。企業破産や破産管財人での実績も多数。2013年3月には「金融円滑化法終了を踏まえた事業再生の最新実務とM&Aの活用方法」の講演を共催。

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    弁護士法人ひかり総合法律事務所、代表弁護士の藤原宏高です。 2006年~2014年までミネベア株式会社社外監査役、2016年~現在は、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの社外監査役を務めております。 これまで顧客本位のリーガルサービスを目標として,ワンストップサービスを実現させるべく海外法律事務所ともネットワークを構築し,中小企業の海外進出支援や,中小企業の事業承継とM&A取引などに積極的に取り組んで参りました。

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    敬和綜合法律事務所所属。東京大学法学部卒業後、三菱重工業株式会社資金部における4年間の勤務を経て、2007年に弁護士登録。 以後、企業での勤務経験を活かした実践的な角度によるコーポレート分野のリーガルアドバイス、M&Aアドバイス、企業間訴訟などを幅広く手掛けるほか、IT法務や金融・ファンドの分野にも独自の強みを持つ。