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2017.5.22

グリーによる3ミニッツ買収

2017.5.22

グリーの買収による新規事業戦略

漆山伸一
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グリーの財務状況

グリーは、言わずと知れたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)GREEを創業事業とし、モバイルソーシャルゲームを開発するなど、日本のモバイルインターネットサービスを牽引してきた企業です。2008年の株式公開以降さらに事業を加速し、スマートデバイス向けにシフトしながら、ゲーム事業、メディア事業、広告事業、投資事業を展開してきました。

しかし足元の財務状況は以下のとおりであり、2013年6月期と2016年6月期を比較すると、売上が54%減、営業利益が70%減など損益面ではこの数年間非常に苦しんでいます。

ただ個人的には、ゲームでの課金モデルがしっかりと定着しており、年間で150億円近い利益を出している優良企業であることには変わりないと思っています。

一方、財政状態、資金面は潤沢であり2016年6月期では自己資本は1000億円を超え、自己資本比率では90%を超える財務安定性は抜群の企業です。グリーではこの潤沢な資金を基に、国内外の多くの会社に事業投資を行っています。

既存事業の収益に陰りが出てきた今、新規市場への進出が必要不可欠ではありました。

そこでいち早く今後の成長性を見込み動画広告市場に目をつけて先手を打ったのが今回の3ミニッツのM&Aということになります。

3ミニッツとは

2016年の動画広告市場は、前年対比157%の842億円に達し、特にスマートフォン動画広告の成長が注目されています。スマートフォンでのユーザーの動画視聴は今後も継続的に増加し、2020年の動画広告市場は2,309億円に達すると予想されています。

3ミニッツは、ファッション動画マガジン「MINE BY 3M(マインバイスリーエム)」、動画マーケティング、インフルエンサーマーケティングならびにプライベートブランドのプロデュースを手がけるクリエイティブ企業です。動画広告市場が拡大傾向にあることや、ユーザーの動画視聴が定着化していることを背景に、3ミニッツが設立2年で事業規模が拡大していることや、広告の企画能力や動画制作能力にたけていること、メディア事業でも注目を集めていることから、グリーとしての技術力などを掛け合わせると大きなビジネスになると判断しました。

グリーは、これまで成長著しい市場に対し、いち早く事業展開に取り組んできました。この度の株式取得により、グリーの持つインターネット事業に精通した人材と安定した財務基盤といった経営資源を3ミニッツに投入することで、動画広告市場において更なる成長を実現できると判断し子会社化することを決議しました。このように会社は今回のM&Aについてコメントしています。

まとめ

グリーによる3ミニッツの買収は新規事業領域にいち早く参入するための買収に他なりません。キャッシュリッチ及び時価総額の高い企業は今後ますますこのタイプの企業買収を加速させることになると思います。特にスマートフォンを中心としたSNSの世界は日進月歩で次から次へ新しい会社、技術が生まれてきています。今回の3ミニッツも設立2年目での買収です。ベンチャーを立ち上げる社長も、必ずしも株式公開などの単独での事業運営を考えず、早期に売却して又次の事業を立ち上げる、そんな米国シリコンバレースタイルの経営が日本にも徐々に定着しつつあることがうかがえる案件でした。我々専門家もこのような経営スタイルを前提とした、資本政策、資金調達、組織戦略を検討する必要があると思います。

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