プロコメ

2017.6.7

カルチュア・コンビニエンス・クラブによる徳間書店買収について

2017.6.7

徳間書店の子会社化は救済か?シナジー効果か?

阪野公夫
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本年3月、TSUTAYAの企画・FC展開やTポイントによるデータベースマーケティング事業などを行うカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社である、カルチュア・エンタテインメント(CE)が、徳間書店の株式を取得し、子会社化したことが発表されました。

徳間書店といえば、「Good Press」といった雑誌や、なんといっても月刊「アニメージュ」を刊行しており、「アニメージュ」は宮崎駿監督が初めて連載マンガとして「風の谷のナウシカ」を掲載したことでも知られています。後に「風の谷のナウシカ」はアニメ映画として製作され、やがてスタジオジブリ事業本部となり、後の株式会社スタジオジブリにつながっていきます。

このように徳間書店はエンタメに強い老舗の出版社ですが、近年は出版業界の不況に歩調を合わせるようにして苦況が伝えられていました。そのような中、2013年、CCCはCEを通じて徳間書店の約15%の株式を保有し、業務提携も行いました。しかし、徳間書店は2015年に最終赤字10億円を計上して債務超過に転落しました。このような状況下で、この度CCCはCEを通じて徳間書店を子会社化したのです。

CCCは書籍などの出版の小売業界において最大手となっており、徳間書店を飲み込んだとも言えなくありません。しかし、M&Aの視点から見た場合、手続き的側面とシナジー効果の側面とに分けて考えてみる必要があると思われます。

まず、手続き的側面としては、子会社化する場合の手続き的な流れです。

最初からCCCがCEを通じて、徳間書店の株式をすべて取得する、という方法も可能です。その場合、株式取得の契約を締結する前に、デューデリジェンスを実施して、法的側面や会計的側面等を調査することになります。けれども今回、CCCはCEを通じて、徳間書店の株式の一部を取得し、業務提携を行いました。これは、業務提携によってCCCは徳間書店のコアとなるコンテンツ事業について将来性を検討したり、また徳間書店の組織の問題点も探ったのではないでしょうか。

つまり、CCCは長いスパンの中で様々なデューデリジェンスを行ったと見ることができます。他方、徳間書店側も、2015年に債務超過に転落しているのですから、CCCに対して、何らかの救済を求めたのだろうと考えられます。もちろん、CCCが、徳間書店を子会社化することなく、業務提携を終了するという選択も可能だったかと思います(業務提携契約の内容に拠ります)。CCCは、長期の調査結果を踏まえて、徳間書店の子会社化に踏み切ったと考えられます。これは、債務超過に陥った徳間書店側から見れば、「救済策」と考えることができます。今後、CCCは、徳間書店の組織改革を図るなどして、債務超過からの回復に向けた施策を行うものと考えられます。

次に、シナジー効果の側面から考えると、単純に言ってしまえば、徳間書店=コンテンツ製作、CCC=コンテンツ販売という図式となります。CCCが、徳間書店が長い歴史の中で培ってきたアニメなどのコンテンツの製作を押さえることにより、シナジー効果を狙ったということは十分に理解できます。

ただ、コンテンツの製作は、長い時間を要するだけでなく、社内風土の変化などによって製作サイドの裁量が奪われ、斬新なコンテンツが生み出されないことも懸念されます。つまり、CCCが、徳間書店に対して短期間での債務超過からの回復を図ろうとする場合、それが徳間書店による新しいコンテンツ製作を阻害する要因になりかねない、という難しい問題が生じます。

今後、今回の子会社化の成否を考える上で、CCCによる徳間書店のコンテンツ製作に関する施策の展開が重要になると考えます。

以上

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