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2017.6.7

カルチュア・コンビニエンス・クラブによる徳間書店買収について

2017.6.7

出版業界における買収のメリット

家永勲
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今年の3月21日にカルチュア・エンタテイメント株式会社(以下、「CE社」)が株式会社徳間書店(以下、「徳間書店」)を子会社化したことが発表されました。元々は、15%程度の資本提携及び業務提携関係にあったようですが、今回の手続で、97%程度の持ち株比率まで上昇させたとの報道があります。これまでには、絶版の書籍の復刊などにおいて業務提携関係を活かしてきた両社ですが、今回の買収にはどのような背景が考えられるのでしょうか。

業績の低迷する企業の買収と経営判断の原則について

本件では、CE社が、徳間書店の株式の保有比率を97%にまで高めたとのことですので、株主から株式を買い取る方法にて子会社化を推し進めたということが推察されます。

本件では、一部では徳間書店は債務超過に陥っていたとの報道もあるように、業績が低迷する企業であり、債務超過となると、純資産を基準とした評価方法などでは、株式自体に客観的な価値を見いだすことは難しい側面もあろうかと思います。

とはいえ、追加出資額が未公表ですので、どのような方法で買い取ったのかは不明ですが、幾ばくかの価値を付けなければ株主から買い取ることも難しいでしょう。

会社として、仮に株式に価値がないとすれば、一定の価額をつけてこれを購入するということは、無価値のものに金を払うという面のみを見た場合には、判断に誤りがあると言われかねません。しかしながら、企業買収の場面においては、主観的には価値がある場合もあり、経営判断の側面も大きくなります。

ただし、買収のプロセスや判断の根拠等に合理的な理由がない場合には、取締役らの責任が生じる場合もあります。経営判断に対する、裁判所の審査方法については、意思決定の過程、内容が著しく不合理でない限り、取締役らの責任を問うものではないと考えられています。

CE社にとっての徳間書店の価値はいかなるものか

CE社にとって、徳間書店が、財務諸表上に現れるような数値以外に価値を見いだしたとすれば、どのような側面か想像してみましょう。

誰もが想像できるように、徳間書店は数々の出版権や知的財産権を有しているものと思われます。これらの権利は、目には見えませんし、必ずしも全てが財務諸表上に資産価値として現れてくるわけでもないでしょう。また、徳間書店のように長く経営している企業においては、ほとんど使われていない古い権利も保有しているでしょう。

このような権利は、歴史のある企業でなければ有しておらず、短期間で新たに生み出すことは著しく困難であり、他に代替しがたい権利であり、企業の価値であると思われます。徳間書店以外は有していないオリジナルの権利やコンテンツが企業に詰まっているということです。

おそらく、仮に徳間書店が法的な破産手続又はこれに類する手続きをとった場合には、上記のような権利やコンテンツは、購入希望者を募り売却される可能性があります。とすると、権利関係はバラバラになり、一体として有していれば価値が生み出せたかもしれないコンテンツや権利も利用価値がなくなる恐れがあります。また、そのような事態に至った場合、できる限り高く購入を希望する者へ売却される可能性が高く、CE社としてもこれらの権利を入手できるとは限りません。

したがって、CE社としては、徳間書店が有する出版権や知的財産権、それらのコンテンツをまとめて入手する機会をつかんだといえるでしょう。

手に入れた徳間書店の権利やコンテンツを如何に利用するかは、CE社の計画次第ではあろうかと思われますが、近年、居心地を重視した書店を展開したり、コンセプトを明確にした売り場づくりを行い、単に本を売る場所としての「書店」という展開から脱却を図るために、徳間書店のコンテンツや同社が有する歴史が活用されていくことになるのではないかと思われます。

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