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テーマダイヤモンドダイニングのM&A戦略

ダイヤモンドダイニングは、2017年6月1日、商業藝術の全株式を取得し、子会社化することを発表した。取得価格は18億円。ダイヤモンドダイニンググループは、飲食事業を中心にアミューズメント事業やウェディング事業へも事業領域を拡大している。商業藝術を子会社することで、双方が持つブランドやこれまでに培ってきた業態開発ノウハウ、教育システム等の経営資源を活用し合うことで、事業の拡大並びに経営の効率化を目指す。

 

 

 

 

「ダイヤモンドダイニングの拡大戦略 ~商業藝術の買収~」

2017年6月14日
中野友貴

弁護士
クレア法律事務所所属弁護士。 2010年慶応義塾大学総合政策学部卒業、2012年北海道大学法科大学院卒業。ベンチャー企業支援を主な業務とする現事務所に所属し、法務デューデリジェンス、契約書の作成・審査、サービスの適法性審査など、ベンチャー企業にかかわる法務支援を総合的に取り扱う。 著書として『IoTビジネスを成功させるための法務入門』(第一法規株式会社)。

株式会社ダイヤモンドダイニングによるM&A

 

2017年6月1日に株式会社ダイヤモンドダイニングは、株式会社商業藝術の発行済み全株式の取得手続きを完了し、同社を完全子会社としました(買収価額18億円)。これにより、商業藝術は、ダイヤモンドダイニンググループの傘下に入りました。

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤモンドダイニングは、飲食店「わらやき屋」や「九州熱中屋」などの飲食事業のほか、アミューズメント店「BAGUS」などのアミューズメント事業を行う会社です。今回のM&A前の時点で、グループ傘下に273店を保有しています。

一方で、ダイヤモンドダイニンググループの傘下に入る商業藝術は、カフェ「chano-ma」、和食店の「茶々」ブランドをはじめとし、飲食事業を中心に約80店舗を展開しています。

 

 

今回のM&Aの目的

 

本件のM&Aの目的としては、エリア展開の拡大がまず挙げられます。

外食産業の主要なターゲット層は、店舗近隣に居住する人が中心であるため、外食産業の業績は、店舗の展開エリアに強く依存します。

ダイヤモンドダイニンググループ傘下の店舗のうち約240店舗は、関東地方に所在しており、これまでには中国地方での店舗出店はありませんでした。一方で、商業藝術は、広島県を中心の一つとして、関西、福岡など広いエリアで事業を展開しています。

ダイヤモンドダイニンググループがこれまで展開していない中国地方を中心に事業を展開している商業藝術を傘下にすることにより、商圏を拡大することが今回のM&Aの目的の一つとされます。

 

次に、ブランドポートフォリオの拡大が挙げられます。

マルチブランドを展開するダイヤモンドダイニンググループは、居酒屋、コンセプトレストラン、ビアバーなどアルコール提供店舗の出店を中心に行っており、商業施設内でのノンアルコール事業への積極的な出店を行っていませんでした。今回、カフェ事業を広く展開する商業藝術を傘下にすることにより、アルコール提供店舗に依存することなく、景気変動・風評被害などのリスクに対応しやすくなります。

ダイヤモンドダイニンググループは、マルチブランドの強みを活かすべく、集客・販促手段としてDDマイルを整備していますので、ブランドポートフォリオの拡大は、DDマイル会員の増加にも寄与するものと思われます。

 

もちろん、ノウハウ・ブランドに関するシナジーの創出も目的の一つとして挙げられるでしょう。ただし、「業績が立地に依存しやすい」という飲食事業の特性を踏まえると、やはり上記の2点が主要な目的であると思われます。

 

連結業績予想

このような目的による今回のM&Aにより、2018年2月期通期(2017年3月1日~2018年2月28日)の連結業績予想が上方修正され、売上高予想317億円のところ40%増の445億円に、営業利益予想15億円のところ20%増の18億円となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

M&A戦略

ダイヤモンドダイニングによるM&Aは、ダイヤモンドダイニングが2015年4月に発表した「3ヵ年中期連結経営計画」によると、2015年2月期~2018年2月期を成長投資拡大期として位置づけ、2019年2月期以降の投資果実刈り取り期への助走期間としています。

今回のM&Aは、これに示された、関西圏でのドミナント化拡大・非アルコール業態によるポートフォリオ拡充という方針に従ったものといえます。いずれも重点項目として挙げられており、ダイヤモンドダイニングとしては、方針に従った買収であったと評価できるでしょう。

投資果実刈り取り期として位置づけられる2019年2月期までに、更なる店舗拡大施策やM&A展開、今回のM&Aのシナジー創出方法などに注目がされます。

その他専門家コラム

  • 「ダイヤモンドダイニングの商業藝術買収の戦略とは」

    小林幸与

    弁護士・税理士

    明治大学法学部卒業後の昭和61年から弁護士活動開始。結婚出産子育てを経て、平成9年より豊島区池袋にて弁護士活動を再開。その後、東京税理士会に登録して税務分野に拡大。法人化を機会に平成26年東京銀座に進出。現在は、弁護士法人リーガル東京と税理士法人リーガル東京の代表として、銀座本店と池袋支店で弁護士5名・税理士2名の体制にて、相続税務や事業承継を含む相続全般・不動産関係に特化した事務所を経営する。

  • 「ダイヤモンドダイニングのM&A戦略」

    飯島康央

    弁護士

    弁護士 飯島康央 紀尾井町法律事務所所属。2000年4月弁護士登録。2015年度第二東京弁護士会副会長。2015年6月からパルシステム生活協同組合連合会員外監事を務めています。 離婚や相続問題、交通事故や消費者事件などの他、企業間の法的トラブルに関する訴訟事件や契約書の作成、審査、債権回収、労務問題など、中小企業の法務支援にも力を注いでいます。

  • 「㈱ダイヤモンドダイニングによる㈱商業藝術買収の経営判断」

    多田昌弘

    公認会計士・税理士

    多田総合会計事務所代表。東京大学経済学部経営学科卒。PwCコンサルティング㈱でERPや連結会計システムの導入コンサルティングに従事後、公認会計士二次試験に合格し監査法人トーマツに入所。法定監査や上場準備監査、M&Aのデューデリジェンスに従事。2004年に独立開業し、ゴルフ場や製造業のPMI(M&A後の統合業務)に従事。IT企業やヘルスケア企業の税務顧問、財務アドバイザリーを数多く務める。