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2017.6.14

ダイヤモンドダイニングのM&A戦略

2017.6.14

ダイヤモンドダイニングの商業藝術買収の戦略とは

小林幸与
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1、はじめに

株式会社ダイヤモンドダイニング(以下「ダイヤモンドダイニング」といいます。)は、平成29年4月、株式会社商業藝術(以下「商業藝術」といいます。)の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。
そこで、この買収目的や買収価格などについて解説します。

2、㈱ダイヤモンドダイニングについて

ダイヤモンドダイニングは、現代表取締役の松村厚久氏が創業した外食産業企業であり、平成19年3月上場しました。同社は、卓越した業態開発力やエンターテイメント性を生かしたマルチコンセプト戦略により業績を拡大させる一方、M&Aにも積極的に取り組んでいて、平成20年に㈱サンプールを買収し、平成21年には㈱フードスコープから事業譲渡を受けるなどで規模を拡大していき、平成22年には100店舗100業態を達成しています。また平成23年には㈱バグース買収してアミューズメント事業にも参入し、さらに日本食レストランを買収するなどして海外進出を果たしています。

東日本大震災後に一時、業績が足踏みしましたが、その後抜本的なブランド集約及び統合を実施し、高収益ブランドによる出店拡大や新規事業にも積極的に取り組んでいます。

3、㈱商業藝術について

商業藝術は、貞廣一鑑氏が平成5年に創業した会社で、カフェ「chano-ma業態」・京都おばんさいの和食店「茶茶業態」・ゲストハウスウェディング等の事業を、広島件を始めとして関東圏、中部圏、関西圏、福岡県等の幅広い分野で展開しています。

同社は、平成29年3月現在、直営飲食店舗80店舗、結婚式場1店舗、美容室2店舗の合計83店舗を運営しています。

4、ダイヤモンドダイニングの買収目的

ダイヤモンドダイニングが商業藝術を買収(全株式を取得)した目的として以下のことがあるとされています。

(ア)ダイヤモンドダイニングは、いわゆる「アルコール業態」に強みを持っていますが、「ノンアルコール業態」をあまり展開してきませんでした。

そこで「ノンアルコール業態」を展開する商業藝術を買収することにより、自社の空白遅滞を短期間で埋めることができ、商業藝術のノウハウも取得できるというメリットがあります。また両会社の良い部分を合体させることにより、互いの収益力をアップさせることができるというメリットも生じます。

(イ)ダイヤモンドダイニングは、これまで中国地方にはあまり出店してきませんでした。広島を地盤として主として商業施設での展開を中心施策としている商業藝術を買収することにより、空白地帯である中国地方に進出できるというわけです。

ダイヤモンドダイニングの公式発表でも双方の会社が持つブランド及び業態開発ノウハウ、立地戦略、教育システム、管理システム並びに仕入れを共有し活用することで企業価値の向上及びコスト削減などの効果を創出できるとしています。さらに中国地方での飲食店展開によるエリア展開領域の拡大及びノンアルコール業態を展開する商業藝術の買収により事業領域の拡充を実現できるとしています。

5、ダイヤモンドダイニングの買収価格

ダイヤモンドダイニングの商業藝術買収価格(全株式取得価格)は、18億円とのことです。商業藝術は、年間売上約76億円、営業利益約1億5000万円、純資産約6億6000万円ですので、一見すると高額の買収価格と感じるかもしれません。

しかしダイヤモンドダイニングの営業利益率は5.37%ですから、食材の共通化・管理部門の共通化などにより商業藝術の利益率をアップさせダイヤモンドダイニングの他の業態と同等の利益率にアップさせれば、年簡約4億円の営業利益が見込まれます。したがってダイヤモンドダイニングとしては自社に商業藝術を取り込んだときの収益性アップを見越して買収したと考えられます。

6、独占禁止法の規制について

ダイヤモンドダイニングのような規模の会社が、全株式取得により会社を買収をする場合、独占禁止法の規制があり、公正取引委員会に事前の届出が必要になります。届出には、株式取得に関する計画届出書と添付資料が必要であり、届出が受理されてから原則30日を経過しなければ株式取得を実行できませんが、公正取引委員会から排除措置命令を行わない旨の通知があれば、株式譲渡を行うことが可能となります。

したがって、ダイヤモンドダイニングは、公正取引委員会から排除措置命令を行わない旨の通知があることを条件として商業藝術の株式を取得すると発表しています。

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