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2017.6.14

ダイヤモンドダイニングのM&A戦略

2017.6.14

ダイヤモンドダイニングのM&A戦略

飯島康央
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1 はじめに

東証一部上場の飲食チェーンの株式会社ダイヤモンドダイニングが、「chano‐ma」「石塀小路豆ちゃ」の業態をはじめとした飲食店舗等を展開している株式会社商業藝術の発行済全株式を取得し、完全子会社化をすると発表しました。

そこで、今回は、ダイヤモンドダイニングのM&A戦略について検討していきたいと思います。

2 飲食店業界の現状

(1)飲食店業界は、景気低迷による外食支出の手控え、少子高齢化による人口減少という日本社会の構造的要因や、業態の多様化、都市部における店舗数増加による過当競争等により、業績を落とす企業も多く、倒産件数も増加し、飲食店業界の市場規模は縮小傾向にあって、業界を取り巻く環境は厳しいものになっています。

(2)大手チェーン企業などでは、日本国内での大きな成長を期待できない状況において、国内戦略を見直し、今後の発展の見込めるアジア各国への進出を進めているところもあります。
他方で、スケールメリットによる原価率の低減を狙った買収や既存の業態を超えて多角化経営を狙った買収等、日本国内での発展を目指す企業によるM&Aも活性化してきています。

(3)このような中で、ダイヤモンドダイニングは、創業以来「100店舗 100業態」を目標に掲げて、1業態1店舗で店舗数を増やし続け、子会社の設立やM&Aによって事業を拡大してきました。今回の商業藝術の完全子会社化は、従前まで積極的に参入していなかった地域や業態に事業を拡大するというダイヤモンドダイニングの経営戦略の一環として行われたものと言えます。

3 商業藝術を完全子会社化の理由

(1)商業藝術は、広々とした小上がり席でくつろげるカフェ「chano-ma」業態や、京都おばんざいをメインにした和食店「茶々」業態、開放的な海沿いのゲストハウスウエディングの「CASA FELIZ」等、広島、関東、中部、関西、福岡など幅広いエリアで事業を展開し、飲食直営店舗80店舗、結婚式場1店舗、美容室2店舗を運営していた企業です。

(2)他方で、ダイヤモンドダイニングは、創業以来、飲食店事業を中心として店舗数を拡大し、また、アミューズメント事業やウエディング事業等へも事業を展開して、国内外合わせて274店舗を直営展開していました。国内では、東京を中心として神奈川、埼玉、千葉に店舗を拡大し、また、関西圏では大阪、京都、兵庫に店舗展開をしていましたが、中国地方では直営飲食店を展開していませんでした。また、商業施設でのノンアルコール業態にも積極的な参入をしていませんでした。

今回のM&Aは、まさに、ダイヤモンドダイニングが参入していなかったエリア(広島)に強みをもち、かつ、ダイヤモンドダイニングが事業展開していなかった業態に強みをもつ商業藝術を完全子会社化することで、広島県を中心とした中国地方において新たに事業を拡大し、さらに、新たに商業施設でのノンアルコール業態を展開していくことを狙ったものであると言えます。

(3)なお、ダイヤモンドダイニングは、昨年9月に、主に飲食店舗を経営する株式会社ゼットンを持分法適用関連会社とし、さらに本年6月には同社を連結子会社化しました。
ゼットンは、ビアガーデン事業、ダイニングカフェ事業、ブライダル事業等を主に展開している企業ですが、ダイヤモンドダイニングはゼットンを連結子会社化することで、飲食店舗の業態拡大を図るとともに、ゼットンの持つブライダル事業に関するノウハウを吸収し、ダイヤモンドダイニングの展開するウエディング事業の成長、発展を狙ったものだと言えます。

ゼットンの連結子会社化、商業藝術の完全子会社化は、ダイヤモンドダイニングが創業以来一貫して貫いてきている1業態1店舗による店舗数の拡大というコンセプトの延長線上にある経営戦略の結果であると考えます。

4 まとめ

ダイヤモンドダイニングよるM&Aは、その狙いが非常に明確であると言えます。単なる店舗数の増大ではなく、多種多様な業態の店舗展開をしていくこと、さらに、未だ展開していなかったエリアについて、そこに強みを持つ企業を買収し、事業の展開領域を拡大するのみならず、そのノウハウをも吸収して業績を拡大し、企業価値を向上させる。このようなダイヤモンドダイニングのM&A戦略は、今後も継続して行われるのではないかと考えます。

以上

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