プロコメ

2017.7.12

バイアウトファンドによる株式会社やる気スイッチグループホールディングスの買収

2017.7.12

アドバンテッジパートナーズのやる気スイッチグループ買収の注目点は何か?

川井隆史
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はじめに

6月1日株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下「AP社」)がサービスを提供するファンドが出資する特別目的会社(以下「SPC」)は、株式会社やる気スイッチグループホールディングス(以下、「やる気スイッチグループ」)の全株式を譲り受けました。やる気スイッチグループは傘下の子会社を通じて「スクール IE」で有名な個別指導塾・英会話スクール・幼児教育・民間型託児保育などの運営を直営およびフランチャイズの形態でおこなっています。今回SPCには株式会社リンクアンドモチベーション(以下「リンク社」)と創業者である松田 正男氏が出資してかつ社長も続投するようです。リンク社はモチベーションを切り口としたコンサルティング会社で、傘下に小・中・高等学校を対象 とした外国語指導講師の配置を行う民間最大手企業の株式会社リンク・インタラック、外国人材の 採用・育成・生活サポートを提供する株式会社リンクジャパンキャリアを有しています。

今回の買収の狙い

やる気スイッチグループは未上場会社であり、今回の買収についても特に発表などは行っておりません。AP社のプレスリリース等を見るかぎり経営基盤を強化して将来上場を目指すようです。リンク社の出資については将来の買収見込みなのか、それともプレスリリース通り純粋に外国語ネイティブ講師の採用・育成・生活支援機能の提供を通じ、やる気スイッチグループが展開する英語教育関連事業の成長・発展を支援するだけなのかは不明です。

ただし、今回AP社のホームページを見るとこの買収は「事業承継」型として分類されているのは興味深いです。社長の松田正男氏は1948年生まれのようなのでもうすぐ70歳になり、次世代の経営陣にバトンタッチしたいと考えられても不思議はありません。経営陣を見る限り「松田」姓の方はいませんので世襲はなさそうで、かつその他の経営陣の方々はAP社から参加の喜多 慎一郎氏を除いてネット等で検索しても全くヒットせずあまり存在感はありません。あくまでも想像ですが世襲がない一方、ワンマン会社の常で次世代の経営陣が育っていないということで、AP社に託したということころなのではないでしょうか?

AP社の強み

AP社のHPを見るとわかるのですが、ファンドに対するステレオタイプな見方である単なる人員削減によるコストカットに頼るのではなく、コストの全面的洗い直しや社員を巻き込んだ組織改善やマーケティング戦略の見直しに基づく売上・収益拡大など多面的な支援が特徴としています。メンバーを拝見するとベインやマッキンゼーといった戦略コンサルティング経験者が多く、投資銀行経験者は比較的少ない部分がこのあたり標ぼうするゆえんかと思われます。加えて個人的見方かもしれませんが、経営陣を連れてくる目利き力が優れているのではないかと思われます。ファンドでよくハンズオンを標榜しているところはあるのですが、比較的事業会社の経営には不慣れな方に経営を任せて人心が離れてしまう失敗例は結構あった気がします。AP社の場合、コメダ珈琲の立て直しなどは例なのですが外部から元ファーストキッチン社長の布施氏をスカウトしてマーケティングや多店舗展開などは任せる一方、自身のネットワークでフランスパンを買収してパンの内製化を行うなどうまく外部の力と自身の力をうまく融合させていると思います。私も以前企業の経営陣であったころファンドから声がかかったことが何回かありますが、面接で明らかに実力不足なのに非常に高飛車な態度のファンドの担当者の方もいる一方、非常にビジネスに対す造詣も深く勉強されている上、非常に謙虚に会社や候補者に接する方などかなりファンドの担当者の器量に差があったのは認識しています。AP社はその点経営陣選定の目利き力が良く、うまく内部と外部の資源を利用しているのが成功の秘訣だと思われます。

おそらく近い将来松田氏の後継をAP社が外部から招へいして上場への基盤固めをしていくというシナリオではないでしょうか。このあたりの外部への事業承継うまくいくか注目だと思われます。

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