プロコメ

2017.7.12

バイアウトファンドによる株式会社やる気スイッチグループホールディングスの買収

2017.7.12

やる気スイッチグループHDの買収とFCの動向

阪野公夫
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2017年6月、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(アドバンテッジ社)が、ファンドを通じて学習塾運営等のやる気スイッチグループHD(やる気スイッチGHD 未上場)の買収を発表しました。

やる気スイッチGHDは、中核事業が個別指導塾の「スクール IE」であり、さらに英語の学童保育の「Kids Duo」や英語スクール、小学校受験教室等を運営しており、全国でフランチャイズを含めグループ全体で1317教室を展開しており売上高は約160億円となっているとのこと。

子どもの「やる気スイッチ」を押す場面のテレビCMが印象的です。

少子化が進む中で、やる気スイッチGHDはアドバンテッジ社に買収されることにより、第二の創業を進める一方、事業基盤を40年に渡り築き上げた創業者の松田正男氏は、アドバンテッジ社の出資する特別目的会社に一部出資することにより、引き続き株主に留まり社長を続投するとの報道がなされています。

また、本買収に際して買収の主体となる特別目的会社には、コンサルティング会社のリンクアンドモチベーション(リンク社)も一部を出資するとのことであり、リンク社が関連会社を通じて有する、外国語ネイティブ講師の採用・育成ノウハウについて、やる気スイッチGHDの英語教育関連事業とのシナジー効果を企図する計画となっています。

この買収において注目すべきは、やる気スイッチGHDの中核事業である個別指導塾の「スクール IE」が全国的にフランチャイズ展開をしており、今後もフランチャイズ展開を拡大する方針であることです。

やる気スイッチGHDの「スクール IE」の本部運営校とFC校との割合や、他の教室におけるFC校の割合、どのようなフランチャイズ契約かといった詳細は不明ですが、本部(やる気スイッチGHD)と加盟店(FC校の運営側)との間で、今後、今回の買収後の方向性についてどのような合意がなされているのか、興味深いと考えています。

フランチャイズ契約は、商圏を拡大し、また全国的な広報宣伝活動など、プラスの面が多々あろうかと思います。

他方で、少子化が進む中で、FC店のテリトリーの設定や競合、また契約期間の問題(FCが契約である以上、いつかは契約終了という事態が生じることも考えておかなければなりません)など、通常の全国展開している業態とは大きく異なります。

もちろん、今回の買収にあたり、関係当事者はFCの問題は十分に検討した上で買収を進めているものと考えられます。

また、やる気スイッチGHDは、買収による豊富な資金力を背景として、さらに全国的な広報活動を強化し、ブランド力を高めることが予想されます。

さらに、リンク社との英語教育関連事業に関するシナジー効果も期待できます。

ただ、このような方向性が、すべてのFC校にとってプラスとなるのか、それとも一部のFC校の拡大だけがもたらされるのか、この点は買収後の動きを見てみないと分かりません。

昨今、少子化が進んでおり、大手学習塾が運営する塾を閉鎖するというニュースが話題となる中で、やる気スイッチGHDが中核事業だけでなく様々な教室運営についてFC展開をしているという特性は、同社の成長のカギを握っていると考えられます。

すなわち、今回の買収の成否のカギは、FC展開が握っているのではないかと考えられるのです。

今後の展開が注目されます。

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