プロコメ

2017.8.18

大黒屋ホールディングスと株式会社ブランドオフの資本業務提携の覚書について

2017.8.18

大黒屋HDによるブランドオフ買収、その先にあるもの

阪野公夫
阪野公夫 弁護士 プロフィールを見る

ブランドオフ買収の概要とスキーム

本年6月、質やブランド品の買取・販売の大黒屋HDが、ブランドオフを買収すると発表しました。公表されている内容をまとめると、以下の通りです。

大黒屋HD

業界第2位(英国での展開、中国本土に出店)
国内店舗 22店
英国 114店
中国 1店
売上高 206億

ブランドオフ

業界第3位(業者間ブランドオークション運営)
国内店舗 33店
香港 11店
台湾 5店
売上高 204億

買収のスキームとしては、大黒屋HDの子会社エスビーオーが、ブランドオフの全株式を取得、エスビーオーは大黒屋HDが70%出資・30%は中国のCITIC社が出資する、というものです。日経新聞によると、ブランドオフの負債も大黒屋HDが引き受けると報じられています。では、この買収の背景には何があるのでしょうか。また、この先には何があるのでしょうか。

ブランドオフ買収の背景

ブランドオフは、主に中国からの観光客による日本国内での旺盛な消費により東京での店舗の売上げを伸ばしていました。しかし、インバウンド消費が下り坂となり、昨年10月、ブランドオフは東京等の4店舗の閉鎖を発表しました(在庫品は他店舗に移管するのではなく、いわゆる最終売り尽くしセールを実施しており、ブランドオフの資金繰りの悪化もうかがわれました)。インバウンド消費は観光客によるブランド品の購入に大きく影響するため、中古ブランド品業界全体に大きな影響があったと思われます。

今回のブランドオフ買収の背景には、インバウンド消費の収縮があったものと考えられます。また、インバウンド消費が収縮したといっても、(日本国内と比べれば)中国本土は消費欲が旺盛であり、中国やアジア圏といった進出計画も考えられます。

今回のブランドオフの買収は、インバウンド消費の収縮を背景として(とりわけブランドオフはインバウンド収縮の影響が大きかったものと推察されます)、業界第2位と第3位が提携して競争力を高め、ブランドオフの負債の引き受けを行い、中国のCITIC社の出資により資金力を強化する、こういった様々な要素がからんでいるものと理解できます。

ブランドオフの買収の先にあるもの

ネット情報ですが、今回のブランドオフの買収は、業界第2位と第3位とが提携して業界1位(コメ兵)を倒すというストーリーの中で語られることがありますが、買収の背景事情から考えると、打倒コメ兵というのは的外れだと思います。

中古ブランド品は、世界共通の価値(わかりやすく言えば、ヴィトンなどのブランド品はどの国においても一定の価格で購入される)があり、それゆえに、より消費意欲が高い国に進出すべきという経営判断が働いていると考えられます。

ですので、ブランドオフの買収は、大黒屋HDとブランドオフの日本国内の既存店の整理を促すだろうと考えられ、中国のCITIC社の資金力により、中国本土への進出、さらにアジア圏への進出へと展開するものと考えられるのです。かといって、大黒屋HDとブランドオフが日本国内から消滅することはないと考えられます。むしろ、ブランドオフが強みを有する中古ブランド品の業者間オークションを強化し、日本国内で言わば眠っている中古ブランド品を掘り起こし、「日本国内で中古ブランド品を仕入れて、中国で販売する」、という新たな展開も予想されます。

その他専門家コラム

最新のプロコメテーマ