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2017.9.27

ドンキHDによるGMSのドンキ化 ~ユニーとドンキHDの資本提携の目的~

中野友貴
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2017年8月24日、ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下であり、GMS(総合スーパー)事業を中心に運営するユニー株式会社と、ドンキホーテホールディングスが資本提携の基本合意をしたことを発表しました。6月の段階で業務提携の検討を進めることを発表していましたが、更に進めて、資本提携に至ることになりました。

本件の提携は、ドンキホーテHDがユニーの100%親会社であるユニー・ファミリーマートHDから株式の譲渡を受け、ユニーの株式の40%を保有するものです。

本件の資本提携の注目点は、なぜドンキホーテHDとユニーが結びつくのか?という点にあります。一見すると結びつかない今回の資本提携により何が目指されているのか検討してみたいと思います。

ドンキホーテHDは、ディスカウントストアであるドンキホーテ、MEGAドンキホーテなどリテール事業を中心に運営する企業です。ドンキホーテHDは、ドンキホーテ1号店創業以来、28期連続で増収増益となっている非常に成長力がある企業といえます。

一方で、ユニー・ファミリーマートHD傘下のユニーはというと、アピタ、ピアゴなどのGMS(総合スーパー)を運営する企業です。一般にGMS業界は苦しい状況にありますが、ユニーも同様であり、2019年2月までに36店舗数を減少する計画のもと、店舗の閉鎖が進んでいます。

ドンキホーテHDは、過去にGMSを主要事業とする長崎屋を買収して、再建させたという成功体験があります。2007年に株式を保有して以来、長崎屋のスーパーマーケットの多くがMEGAドンキに業態を変更させました。この結果、増収増益、店舗拡大が実現されています。

さて、今回発表された以下の買収の目的を見ると、長崎屋の事例と同様な展開により業態変更することが目指されることが伺われます。

①ユニー店舗の一部を、ドンキホーテ運営店舗・ユニー運営店舗のダブルネームへの転換
②ユニーの閉鎖店舗を、ドンキホーテ運営店舗に転換

今回の買収事案が驚きを生んだのは、ユニー、ドンキホーテの業態が異なるために、結びつくことがイメージできないという点にあります。

ただし、この点は、ドンキホーテとしては、既に長崎屋の事例で経験済みであり、実際に成功させています。

長崎屋は、地方都市を中心に展開し、主要な客層は高齢者という業態でした。一方で、ドンキホーテは、当時は、主要都市部を中心に展開し、主要な顧客は若者であるという点で大きく異なりましたが、業態転換によって増収増益をさせています。

このような成功事例を踏まえると、閉鎖店舗も含め、ユニーが持つ店舗網を有効活用し、ドンキホーテ運営店舗の拡大を更に進めていくことが主要な目的といえるでしょう。居抜き店舗の活用に強みを持つドンキホーテとしては、今回の事例に限らず、不振にあえぐ他のGMS企業の活用を更に進めることも予想されます。

さて、上で見たような資本業務提携の目的を見ると、必ずしも株式の保有は必要ではなく契約上の業務提携で十分では?とも思われるところです。

しかし、ユニーとドンキホーテという一見すると結びつかない業態がともに運営をする場合には、一定の反発も予想されるところです。その場合に、単なる契約上の業務提携では、業態の変更の実現が困難になってしまう場合もあるでしょう。それを防止し、きちんと進めていくためには、出資をしてリスク・責任を明確に負担することが重要になるといえます。

資本業務提携をすることになった意義について、ドンキホーテHDの大原孝治社長は、「ユニー店舗の“ドンキ化”への綿密な助言をするため、リスクと責任を負う。大同団結だ」と述べており、業態変更へと進む強い意志を伺うことができます。

株式譲渡の対価は不明ですが、ユニーHDとしても、業績の不振にあえぐGMS事業について譲渡し再建してもらえるのであれば渡りに船といえるでしょう。

今後、ユニーがドンキホーテの風を受けてどのように変化していくのか注目されます。

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