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2017.10.10

ドン・キホーテHD、ユニー・ファミリーマートHD傘下のユニーの株式取得について

飯島康央
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1 はじめに

流通大手のユニー・ファミリーマートホールディングスは、傘下の総合スーパーであるユニー(株)が、ディスカウントストア大手のドン・キホーテホールディングスから40%の出資を受け入れ、資本業務提携に合意したと発表しました。
今回の資本業務提携は、総合スーパーやコンビニエンスストアを運営するユニー・ファミリーマートHDにとって、また、ドン・キホーテHDにとってどのような意味があるのかを探っていきます。

2 ユニー(株)の株式を取得する法的意味

今回の資本提携の内容は、ドン・キホーテHDがユニー(株)の株式40%を取得するというものであり、その親会社であるユニー・ファミリーマートHD(株)自体の株式を取得する資本提携ではありません。
すなわち、ドン・キホーテHDは、子会社であるユニー(株)の株主権を行使することができるにすぎず、親会社であるユニー・ファミリーマートHDの意思決定には参画できないこととなります。しかも、取得株式は40%と過半数には届かないため、ユニー(株)の株主総会における普通議決事項について事実上決定権はないこととなります。

したがって、ドン・キホーテHDとユニー・ファミリーマートHDとの資本提携は、法律的には緩やかな資本提携関係にあると言えます。

3 ユニー・ファミリーマートHDの意図

ユニー・ファミリーマートHDにとっての本件資本業務提携の意味は、まずは、ユニーが運営する総合スーパーである「アピタ」や「ピアゴ」の立て直しにあるようです。
総合スーパーは、バブル崩壊後、消費者の多様性や低価格志向に対応することが難しくなり、どの総合スーパーも売上高は減少傾向にあります。総合スーパーの大手であるイオンやイトーヨーカ堂も苦戦が続いており、ユニーが運営する「アピタ」や「ピアゴ」もその例外ではありません。
そのような状況において、ユニー・ファミリーマートは、本件資本提携により、ドン・キホーテの有するディスカウントストア事業の独自の強みやノウハウを生かして、総合スーパーの立て直しを図ることを期待していると言えます。実際に、ドン・キホーテは、2007年に長崎屋を買収し、「MEGAドン・キホーテ」として再生させた実績があり、総合スーパーの立て直しには一定のノウハウを有しているといえるでしょう。

さらに、本件資本業務提携は、コンビニエンス事業の拡大をも目指していると言えます。コンビニ業界においては、セブンイレブンが店舗数約1万9000店、ファミリーマートが約1万8000店と店舗数にあまり差はなくなってきましたが、売上高はセブンイレブンが突出しています。しかも、コンビニ市場は飽和状態にあると言われており、今後、大幅に店舗数を増やすことで売上高を伸ばすことは困難な状況にあるようです。とすると、今後収益を上げるためには、あらたな商品開発によって魅力ある商品を販売し、1店舗あたりの売上高を上げることが必要となります。そこで、数多くの独自商品を開発したドン・キホーテのノウハウを吸収することで、コンビニ業界において新たな魅力ある商品を販売し、コンビニエンス事業を拡大することを目指していると言えます。

4 ドン・キホーテHDの意図

他方、ドン・キホーテHDにとっても、ユニーの運営する総合スーパーやファミリーマートの有する店舗数は非常に魅力的であると言えます。閉店が予定されている「アピタ」や「ピアゴ」の数店舗をドン・キホーテが活用して店舗数を増大させることができるのみならず、全国約1万8000店舗を有するファミリーマートにおける独自商品の販売により、更なる売り上げ増加を図ることが期待できるからです。

前述のように、ドン・キホーテHDがユニー・ファミリーマートHDの経営に直接参画することはできませんが、ドン・キホーテが今後さらに発展することが期待できる資本業務提携であるといえるでしょう。

5 まとめ

今回の資本業務提携は、ドン・キホーテがユニー・ファミリーマートHD完全子会社であるユニー(株)の株式を取得する方法であって、親会社であるユニー・ファミリーマートHD自体の株式を取得した資本提携ではありません。その意味では、比較的緩やかな資本提携関係であると言えます。
しかし、このような資本提携でも、お互いの強みやノウハウを生かして自身の弱みを解消し、相互に事業を拡大することが可能になると考えられます。

これからドン・キホーテとユニー・ファミリーマートの関係がさらに発展していくのか、今後の両社の動向を注目します。

以上

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