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2018.1.10

ソラストのM&A戦略について

2018.1.10

ソラストのM&A戦略について

照井 久雄
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介護業界は、M&Aが活発に行われている業界の一つです。背景にあるのは、介護報酬の変更など国の方針によって、収益構造が変わってきてしまい、中小企業であるとその対応に苦慮することや、人材採用が難しくなり、人件費高騰などにより収益が圧迫するということがあります。

一方で、少子高齢化社会の中で、2025年には全人口の2 割弱が75歳以上という超高齢化社会いわゆる「2025年問題」などといわれる問題が到来します。絶対数でいくと、65歳以上の人口は、2010年は30,000千人に満たなかったが2040年には40,000千人、に迫る規模となるといわれております。

このような環境化、介護関連市場規模は、2014年の8.6兆円から2025年は18.7兆円まで成長するといわれております。このように、日本の中で数少ない成長マーケットが介護事業であります。

今までは、介護事業については、中小企業や社会福祉法人が少数施設を運営しているケースが多かったですが、昨今では、大手企業の新規参入などが増えてきており、M&Aを活用して成長している企業が増えてきております。

ここでは、昨今介護事業の中で、M&Aにより急成長している、「株式会社ソラスト」という企業を見ていきたいと思います。

会社概要は以下のとおりです。
創業:1965年10月
資本金:5億円
売上高:654億円
東京証券取引所一部上場

売上高の推移としては、
2014年3月期 584億円
2015年3月期 601億円
2016年3月期 630億円
2017年3月期 654億円
2018年3月期 700億円(予想)

と順調に成長しております。ソラストが経営ビジョンで掲げている2021年度の売上1000億円が目前というところまできております。

特に昨今では、M&A戦略を前面に出して、積極的にM&Aを行っており、2017年3月期は11件のM&Aを行い、2018年3月期も2017年11月末時点において8件のM&Aを行っております。特に、2017年9月には、ベストケア株式会社(年間売上30億円)日本ケアリンク(年間売上高42億円)と立て続けに規模の大きなM&Aに成功しております。

それぞれをみていきましょう。

ベストケア

純資産:727百万円
売上高:2,866百万円
営業利益:168百万円
経常利益:171百万円
当期純利益:114百万円

事業の特徴としては、愛媛県、関東圏、関西圏等において通所介護(デイサービス)を中心 に 35 の事業所で介護サービス事業を運営しており、愛媛県内でトップクラスのシェアを誇る事業者です。また、理学療法士や作業療法士をはじめとする 専門職種による機能訓練を強みとしています。

この企業を買収金額、3295百万円で買収しております。簡単な指標でみてみると、

買収金額―純資産/営業利益  でみてみると、約15倍で買収しているということになります。続いて、株式会社日本ケアリンクの買収についてみていきましょう。

日本ケアリンク

純資産:134百万円
売上高:4,245百万円
営業利益:170百万円
経常利益:66百万円
当期純利益:51百万円

事業の特徴とすると、関東圏において認知症高齢者のための住まいであるグループホームや地域に密着した小規模多 機能型居宅介護、有料老人ホーム等を運営しています。この企業を買収金額、2,015百万円で買収しております。簡単な指標でみてみると、買収金額―純資産/営業利益  でみてみると、約11倍で買収しているということになります。

最初に記載したとおり、市場がこの数十年間拡大を続けること、今後さらに大手間の競争が激しくなっていくことを考えると、現段階にて買収し規模を拡大しておくことということは非常に意味のある戦略であると考えられます。

一方買収企業の収益をあげていかなければM&Aとは成功とはいえません。この点についても、ソラストは、M&A後の統合プロセス(PMI)を重視しており、経営ノウハウを積極的に移植することにより、計画以上の収益をあげることに成功しております。このように、多くのM&Aを経験することにより、PMIの精度もあがりより、M&Aにより成長を加速することができるようになります。

今後、ソラストがどのようなM&Aを実行し、成長していくか非常に楽しみであります。

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