プロコメ

2018.3.21

ヨシムラ・フード・ホールディングスのM&A戦略

2018.3.21

「中小企業支援プラットフォーム」を提供

中原 陸
中原 陸 M&Aアドバイザー プロフィールを見る

食品の製造および販売を行う中小企業の支援、活性化を目的に設立

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(以下「ヨシムラ社」)をご存じない方は、その社名から、食品メーカーなど食品に関連する事業会社という印象を持つと思います。しかし、その実態は、食品の製造および販売を行う中小企業の支援、活性化を目的に設立されたいわば投資会社です。独特なのは、投資対象業種を限定していることと、ファンドではないため、買収した会社を短期的に業績改善させて売却することを目的とせず、あくまでグループとしての発展を目指すところです。

M&Aを通じて順当に成長発展

ヨシムラ社は2008年に設立した会社で、業歴はまだ10年と若いですが、昨年2017年には東証1部に市場変更し、売上も約162億円(2017年2月期)と着実に成長してきています。その成長の原動力となっているのがM&Aです。設立年度に2社をグループ化したのを皮切りに、合計で食品メーカー9社と食品販売企業2社を買収し、現在は11社をグループ傘下に抱える持ち株会社です。短期間の内にM&Aを繰り返してそれぞれ業績改善させるのは容易ではありませんが、それを着実に好循環に乗せている彼ら独自の仕組みを「中小企業支援プラットフォーム」と呼んでいます。

中小企業支援プラットフォームとは

ヨシムラ社がグループに参画させる企業は、食品のメーカーか販売企業に現時点(2018年3月19日現在)では限られています。そもそもが、「食品の製造および販売を行う中小企業の支援、活性化を目的」に設立された会社なので、その通りに進められているようですが、一方で「中小企業支援プラットフォーム」を実現する上においても、業種を絞ることが肝要となっていると考えられます。同業企業であれば、そこで必要となる機能は基本的には重複するはずで、故に、有力な機能を一つ構築してしまえば、それをグループ他社に横串を入れて共有することが可能となります。あるいは同じことに年商10億の1社で取り組むのと、グループ100億で取り組むのとでは生産性や効率の近いが生まれる可能性があります。
例えば営業であれば、グループ各社の間で取引先を共有できるかもしれません。例えば仕入れであれば、グループ一括購入することで、その購買力を活かして仕入れ値を削減できるかもしれません。このように、同じ業種間であれば、一つの強みを共有したり、全体としての強みを生み出すことが可能となります。

独自のM&A戦略

大手企業によるM&Aの多くは、
• 業績が魅力的な企業
• 規模感、ブランド、技術力が魅力的な企業
のいずれかを対象にしています。即ち買収対象企業の魅力がはっきりしている企業で、一般的にM&A市場においてはその買収額は高くなる傾向にあります。しかしながら、ヨシムラ社は中小企業にM&Aターゲットを絞ることで、M&A市場において、競合他社との競争を回避しています。即ち、M&Aにおける買収コストが肥大化することを防ぐことができています。事実、これまでにM&Aにてグループ参画した11社の内、年商が10億を超えているのは4社のみです。適正な金額で買収し、そしてその会社が抱える課題を、グループで保有する機能を通じて解決することで業績改善し、グループとしての投資回収を短期間のうちに行い、早期に業績面においてグループへの貢献を実現できることが強みと言えます。

中小企業支援プラットフォームの実力が問われる

中小企業庁が2016年に「事業承継ガイドライン」を発表しました。2020年に経営者の一斉リタイアが起こる可能性があり、その多くの企業は後継者不在とされていることから、多くの企業が存続を問われることになる=2020年問題が起きる、という内容が含まれています。ヨシムラ社はこの2020年問題の受け皿となりうる会社であり、その時に「中小企業支援プラットフォーム」の真価が問われることとなります。人口減少が進む日本において、ヨシムラ社のような企業は今後益々存在価値が高まると思われ、その動向が注目されます。

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