プロコメ

2018.3.29

RIZAPグループ、ワンダーコーポレーションを子会社化

2018.3.31

RIZAPグループのM&Aは、結果にコミットできるか?

阪野公夫
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株式会社RIZAPグループ(以下「RIZAPグループ」といいます。)は、平成30年2月19日、関東圏を中心にエンターテインメント商材等を行う株式会社ワンダーコーポレーション(以下「ワンダー社」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結し、RIZAPグループがワンダー社の株式の過半数を取得して、同社を連結子会社化することを公表しました。

RIZAPグループが公表した「戦略的提携方針」によりますと、ワンダー社の店舗にフィットネスジムを併設(20店舗の出店)するといったシナジー効果により、RIZAP関連事業の来期計画「売上高 前期比150%以上」を達成し、RIZAP関連事業は「成長の第2フェーズ」へ移行するとしており、他方で、ワンダー社の不採算店の閉店やRIZAPグループ商品の活用によりワンダー社の収益性を向上させるとしています。

ワンダー社の業績の概要は以下の通り。
2015年2月期 売上高約838億円
2016年2月期 売上高約784億円
2017年2月期 売上高約741億円
 
 ゲームや音楽ソフトといったエンターテインメント商材等がスマホと競合する中、ワンダー社の収益性が下落していたものと考えられます。

今回のM&Aは、RIZAPグループがワンダー社の株式取得について、
①株券等公開買い付け(TOB)
②第三者割当増資
以上2つの手続を取ることを公表しています。
②については、ワンダー社はTOBの終了後、普通株式1,980,000株を発行し、RIZAPグループが全株式を引受けるとのこと。ワンダー社にしてみますと、増資による資金調達によって、不採算店の閉店や高収益事業への修正を図り、収益性を改善することが見込まれます。では、RIZAPグループから見た場合、今回のM&Aにはどのような意義があるでしょうか?

RIZAPグループは、本年2月にワンダー社とのM&Aを公表し、さらに3月29日にもサンケイリビング新聞社の子会社化を公表しました。さらに2017年だけを見ても、1年間でジーンズメイト社、ぱど社など計7社とのM&Aを進めており、M&Aによる急激な成長がうかがえます。RIZAPグループの公表資料によりますと、ジーンズメイト社ではロゴマークの変更や新PBブランドの導入といったリブランディングにより収益性を大幅に向上させたとしています。まさにM&Aにおいても結果にコミットしたといえます。今回のRIZAPグループによるワンダー社の株式取得も同様に結果にコミットできるでしょうか?

成否のカギは、「売上高 前期比150%以上」、「ワンダー社に20店舗の出店」、そして「人材の育成+労務問題」、「競合他社の存在」であると考えられます。つまり、「売上高 前期比150%以上」という急激な成長戦略は、ワンダー社の既存店に20店舗出店することが前提となっており、そこに人材の育成が追いつくかどうかという点がカギを握ると思われます。

20店舗の出店を受けいれるワンダー社も、RIZAP関連事業に人材の配転(とくにRIZAPのパーソナルトレーナー等への配転)を実行することが考えられますが、そこには配置転換に伴う労働条件の変更といった問題が生じます。ただ、RIZAPグループからすれば、ワンダー社に対して、増資による資金調達を図っており、ワンダー社の既存店における優秀な人材の供給を求めることが予想されます。さらに、健康志向の高まりから、パーソナルトレーナー・パーソナルジムは増加傾向にあり、RIZAP関連事業に競合他社が増えることは確実です。

今までのRIZAPグループのM&Aにおいて、買収後に相手企業に対してRIZAP関連事業20店の出店をするという戦略はなかったように思います。以上のように、今回のRIZAPグループのワンダー社の株式取得というM&Aの成否はRIZAP関連事業における人材育成がカギを握るものと考えられます。

このような視点から、今後のRIZAPグループとワンダー社の動向が注目されます。

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