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2018.11.22

ゼンショーHDのアメリカのテイクアウト寿司店運営会社の買収について

2018.11.22

ゼンショーホールディングスのM&A

照井 久雄
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ゼンショーホールディングスのM&A

10月16日のニュースで、ゼンショーホールディングスが、Advanced Fresh Concepts Corp
(米国・カリフォルニア州 以下「AFC」社)の全株式を取得し子会社することを発表した。

AFC社は、米国、カナダ、オーストラリアで寿司のテイクアウト店を主にFCで展開している。米国では、3,700店舗、カナダ、オーストラリアを合わせると4,000店舗超を展開している企業である。テイクアウト寿司業界では世界NO1の企業である。

本件をゼンショーは子会社化することによって、いよいよ、世界戦略がみえてくることになる。ゼンショーの理念は、「世界から飢餓と貧困を撲滅する」である。まさに、その理念実現のためには、非常に良いM&Aであったと思う。4000店舗を超えるネットワークをグループに取り込むこと、メニュー開発や食材調達、物流、店舗運営、店舗立地開発等の各分野において、シナジー効果を発揮することが出来る。特に北米やオーストラリアを攻略するためには、これほど良いM&Aは無かったのではないかと思う。
個人的には、今年起こった外食業界のM&Aの中で、一番の良いM&Aであると感じるし、この数年でもここまで良いM&Aはなかったのではないかと思う。

では、AFCの中を見ていきたいと思う。

AFCは、石井隆司会長が、1986年にカリフォルニア州に1店舗目をオープンしたところスタート。2002年にフランチャイズシステムを開始し、現在は4000店舗超の店舗網となっております。

数値的な部分を見ていきたいと思う。

純資産は、1億272万4千ドル
総資産は、1億3,067万5千ドル

総資産に対する純資産の割合をみても、非常に財務状態の良い企業であることがわかる。
収益性としては、
売上高は2億2599億7千ドル
営業利益は2,836万8千ドル

であります。収益的にも非常に良い企業であるということがわかる。この企業をゼンショーは、2億5710万ドルで買収することが出来た。金額的にもこの規模の企業を買収するには割安で買収出来たのではないかと思う。そういった意味では、このM&Aは、さすがゼンショーということがいえるM&Aなのではないか。

2000年代に外食のM&Aのメインプレイヤーはゼンショーであった。
主なゼンショーのM&Aの歴史を少し振り返ってみたい。

2000年 ココスジャパンを80億円にて買収
2001年 ぎゅあんを買収
2002年 ココスジャパンがビッグボーイジャパンを買収
2005年 なか卯を買収
2006年 米国内におけるココスレストランを展開する企業を買収
2007年 ジョリーパスタを買収
2008年 華屋与兵衛を買収

これは、ゼンショーの行った2000年代に行ったM&Aの一部であるが、これだけをみても、非常に積極的にM&Aを行い、またその後、買収した企業(ブランド)を成長させてきたことがよくわかる。

2010年代になるとゼンショーは、外食ではなく、スーパーマーケット業界のM&Aなどが目立つようになる。例えば

2012年 スーパーマルヤを買収
2013年 マルエイを買収

このほかに、介護施設なども買収も進めてきた。

しかしながら、2010年代は、外食においては、2000年代ほど積極的にM&Aをしてこなかったようにみえる。この間に外食業界においても、M&Aは活発に行われてきた。そこにゼンショーがあまり出てこなかった。ここに、テイクアウトとはいえ、久しぶりに飲食業界のM&Aを行い、前述のとおり非常に良い企業を買収したのは、さすがであると思う。
今後ゼンショーがどのようにM&Aを行い、さらに成長していくのかは非常に楽しみである。

1948年生まれの小川賢太郎会長、今年70歳になったがまだまだ、外食業界を引っ張っていく存在である。国内の外食企業の売上高NO1になったゼンショーは、世界の外食企業のトップ10に入った。外食業界で世界NO1の企業が日本から生まれてほしいと思うしそれに一番近い存在がゼンショーであるといえる。今回のM&Aがその足掛かりになるだろうしそうなってほしいと切に思う。

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