プロコメ

2019.3.1

知っておきたい2019年外食M&Aの動向

2019.3.5

2019年外食M&AのM&Aの動向

照井 久雄
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はじめに

2019年もはや2か月が経過しました。今年は、『平成最後』と『新元号』、『GW10連休』『来年のオリンピックに向け』『ラグビーW杯』『消費税10%』など、色々なことが目白押しの1年です。

さて、仕事柄「最近の外食業界のM&Aはどうですか」と聞かれることが多いです。その度に、最近の外食業界のM&Aってどうなんだろうと考えます。肌感覚では、増加傾向にあるのだと思います。その背景にあるのは、以下の3点があるのだと思います。

① 人手不足
② 成長企業の戦略的M&A
③ 買収企業の資金調達力

1つずつ見ていきたいと思います。

① 人手不足について

これは、どの業界にも通じることかもしれませんが、外食業界は特に『人材不足』に陥っていると思います。良い業態を作り出店したいが人材がそろわないから躊躇するということが非常に増えてきています。
この解決のために、経営者は色々と工夫していますが、『働き甲斐を高め辞めない企業(店舗)づくり』ということが本質のような気がします。採用費に数十万円を使うのであれば、その資金を『働き甲斐』のために使い退職率を下げるということが有意義なのだと思います。今成長している企業をみているとそのような取り組みを多々行うことで、働き甲斐をつくり、退職率を下げると同時にそのような企業には人材も集まってきます。そうすることによって、企業成長の下支えである人材を確保できると思いますしそこが本質であると感じています。またそのような企業は、M&Aをする際にも企業価値が当然に高くなる傾向があります。短期的ではなく、仕組みとして長期的成長が出来る企業と判断されます。

② 成長企業の戦略的M&Aについて

成長している企業が戦略的に大手の傘下に入るやファンドと手を組むという企業が増えております。私が連載している『月刊食堂』の記事でも事例としてもいくつか取り扱わせていただいておりますが、非常に増えてきていると思います。月刊食堂でも取り上げさせていただきました「がブリチキン。」を運営するブルームダイニングサービス社については、弊社でご支援させていただいたM&Aの中ではこの部類に入ると思います。またこれも弊社でご支援させていただきましたSFPホールディングス社のジョー・スマイル社の買収もこれと同様です。このような戦略は、IT企業などでは当たり前に行われてきたことが外食企業にも浸透してきた考えております。例えば、IT業界では、戦略的にKDDIの傘下に入るやソフトバンクの傘下にはいる、DMMやサイバーエージェントに出資してもらう、資本提携するなどは、ふつうに行われてきてました。そのようなことが外食業界にも増えてきているということだと思います。
今後は、『スタートアップ系』の外食企業が出てくるのではないかと思っています。これは何かと申しますと、売却を前提として戦略的に業態を作り、それを繁盛させて戦略的に売却していくということです。外食は、難しい業界であるので、なかなかうまくいくことは難しいのかもしれませんが、それでも(それだからこそ)ここを狙えれば非常に面白いことが出来るのではないかと思っています。特に最近何人かの若手経営者と話しをすると、自身が「会社を所有する」というよりも「事業を成長」させることに重きを持つ経営者が増えてきているのでこのような経営者にとって「事業成長」という視点でM&Aを今後活用していくとなると、IT業界で起きているような「スタートアップ」の事例などが非常に参考になるのだと思います。
ここは、弊社でも今後研究していきご支援させていただきたいと思っています。

③ 買収企業の資金調達力について

買収資金の資金調達状況としては、ここ数年は銀行を中心とした金融機関からの資金調達がしやすい環境でした。背景には、ゼロ金利政策などもあるのだと思います。しかし、この借り入れしやすい環境については、昨年末から今年にかけてだいぶ風向きが変わってきているのではないかと感じています。少しずつ金融機関が引き締めてきているのではないかと思う事例などもいくつか起きています。景気動向については、来年のオリンピックというのが契機になるのだと思います。オリンピック後は、下降していくのではないかということはなんとなく、皆が思っていることだと思いますが、その傾向は、前年である今年あたりから出始めるのではないかと思います。
この他、最近買収企業として外食業界で、メインプレイヤーになってきているのが、『バイアウトファンド』です。ここ数年で外食企業のファンドによるM&Aが増えてきております。ファンドというと日本だとスティール・パートナーズや村上ファンドを思いうかげる人が多く『ハゲタカ』などという印象があったのかもしれませんが、これは全く違うと考えたほうが良いと思います。ファンドの種類が違うのです。
最近外食企業が売却しているファンドの印象的な話しでいくと、あるファンドにインタビューした際にいっていたのは、彼らが投資をする際に最も重要視するのは、「一緒に働きたい経営者かどうかということ」だということです。数値面はもちろん見られますがそれよりも一緒に働き、成長していける経営者かどうかということが一番大事だということです。事実、弊社でもいくつものファンドとお付き合いがありますが皆そのような想いのもと仕事しているファンドばかりです。
外食経営者というプロとファンドというプロが掛け算になるからより企業が成長するのだと思います。ですので、M&A(企業売却)を考える際にファンドということも一つの選択肢に入れていただければと思います。またファンドの良いところは、100%売却ではなく、経営者自身が20%程度の株式を保有することも出来るという点があります。これは、企業成長を一緒にする運命共同体であるということの現れでもあると思います。つまり、企業が成長すればその分企業価値が上がります。また、IPOをすることが出来れば大半をファンドは売却するので、その時に再度経営者が筆頭株主になるということも出来ます。このような事例を最近多々弊社でもご支援させていただいておりますのでご興味がある方はご連絡を頂ければ幸いです。(フェイスブックで照井宛てにメッセージを頂いても構いません。)

2019年も残り10か月。良いM&Aが生まれること、また支援していきたいと思います。

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